こんな悩みを抱えている、研修医や若手医師の方は多いのではないでしょうか。
多くの若手が医局に入る一方で、近年は初めから医局に入らない、途中で医局を辞めるといった選択をとる医師も増えてきました。
僕自身、医局員として8年程度過ごし、その後退局をしました。
僕が在籍していた期間にも医局を辞めていった人はそれなりの数いますし、医局に残っている人もまた多くいます。
メリット、デメリットはどの人にも同様にあるにも関わらず、感じ方に違いがあるのをみて、医局という制度には向き/不向きという要素もあると感じました。
今回はこういった向き、不向きという観点から医局について解説していきたいと思います。
多くの人の力を借りたいか
医局というのは、医局外と比べて、「多くの人が力を合わせて、大きなことを達成する」という特色があります。
研究や留学はまさにそうですが、臨床においても同様のことが言えます。
先進的、専門的な領域に進んでいきたいと思えば、若いうちは多くの人から教育を受けたり、環境を整えてもらう必要があります。
また医局には、皆でその地域の若手を育てていこうという文化があります。
同門ということであれば、それまで関わりがなくても協力してもらえる場合が多く、そういった頼りになる先輩が自然と増えていきます。
健康上の理由や産休育休などで休職が必要になる場面では、開いたポストに代理の医師が派遣されます。
ただし、他人の力を借りることが多い分、当然ながら自分が力を貸さなければならない場面は多いです。全体で大きなことを成し遂げようとすればするほど、個人として不本意な仕事の割合も増えていきます。
組織の力を借りる機会が少ない医師は、搾取されていると感じることも多いでしょう。
「皆で協力して」か「個人で」か。
どちらか一辺倒の人というのは少ないでしょうが、より前者の傾向が強い人は医局向きであると言えるのではないでしょうか。
自らの人生を自分で描きたいか
医局にいると、多くの部分で医局に人生を預けることになります。
配属先によって、日々の仕事や習得できるスキルが変わってきます。住環境もそれに伴って、自然と決まってしまいます。
逆に医局に属していなければ、自分のキャリアや人生を自分で決められる範囲が広くなります。
ただその反面、決断の全てに自分で責任をとるというプレッシャーが常にあります。また「決断をする」ということには多大な労力がかかります。
最近、こういった気苦労が増えたとも思います。
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他人の指示で環境を変えることが苦になるかどうかも、医局の向き不向きに関係します。
金銭面を気にするか
同等の能力、同等の時間働く2人の医師がいたとしたら、医局外のほうが金銭面で豊かである可能性が高いです。
収入面
医局員は、大学病院や関連病院といった大~中規模病院の勤務医になります。関連病院も公的病院の比率が高いです。
現在の医師の給与は民間病院勤務医や開業医、アルバイト(フリーランス医師)が高く、公的病院勤務医や大学病院勤務医が低いと言われています。
支出面
医局にいると、異動をはじめとした金銭的負担があります。
まず賃貸物件を借り直す費用や引越し費用がかかります。異動を挟むとボーナスが一回分もらえなかったり、退職金がリセットになったりというデメリットもあります。
その他、寄付金や同門会費、大学にいる場合は医局費などもかかります。
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ただ医局員であっても、当然ながら世間一般の平均年収を下回るということはなく、むしろキャリア内のほとんどの期間で平均の2倍程度の年収になります(額面では)。
こうした金銭に関して、それだけあれば十分と考えるか、不満に感じるか
金銭面で「ある程度もらえれば、それ以上はあまり気にならない」という方は、医局に向いているのではないでしょうか。
異動を気にするか
医局は医局員に対して人事権を持っており、関連病院の全てに異動になる可能性があります。
関連病院の範囲によっては、転居や長距離の通勤あるいは単身赴任が必要になります。
新しい土地を楽しめる人は向いています。逆にキツイと感じる人は医局は不向きと言えます。
フルタイムで働きたいか
先程も書きましたが、医局員は大学病院や関連病院といった中~大規模病院の勤務医となります。
こういった病院は他と比べて、忙しい傾向にあると感じます。
また、週3~4日の勤務や、それに非常勤を加えて...といったフレキシブルな働き方が認められる環境は少ないです(大学病院勤務をこれに分類するのは抵抗があります)。
最低でも週5日定時の勤務、多くの場合は時間外勤務や当直などが義務付けられます。
医局にいると、控えめな働き方やフレキシブルな働き方は難しいです。仮に一時的にできたとしても、異動や医局の状況の変化で手放すことになる可能性が高いです。
まとめ
医局に向いているか、向いていないかに関わる5つの要素を解説しました。
・自らの人生を自分で描きたいか
・金銭面を気にするか
・異動を気にするか
・フルタイムで働きたいか
いかがでしょう。ご自身が医局向きかどうかわかりましたか?
先程も書きましたが、医局か医局外は例えるならば
「DIY(自分で組み上げるかわりに割安)かセット売り(お任せできるが割高)か」
というイメージです。
こういったことを考慮すると、「若い」というのはそれだけで医局に向いている要素だと感じます。
「とにかく早く技術を手に入れたい、一人前になりたい、他のことはとりあえず二の次」という若さと医局は親和性があるからです。
このため、「とりあえず一人前になるまでは医局にいるかな」という判断する若手も多いのでしょう。
逆に、序盤から自分で組み上げていくという決断ができる人は、医局の外が向いているのではないでしょうか。
今回は以上です。
こちらの記事では、医局を選ぶ際にチェックしたいポイントをまとめました。自分に合った医局を選ぶ参考になるはずです。よろしければどうぞ。
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