医局に入る前

「医局に入る」徹底まとめ~方法・メリット・考え方~

2021年6月11日

 

ゆくゆくは医局に入ろうと思っています。入り方など医局について教えて下さい。
お任せください。

 

僕は初期研修修了後に入局をし、約8年間医局員として過ごしました。

僕自身も入局というステップを踏みましたし、後輩の勧誘にも関わってきました。こういった医局員時代の経験を元に、「医局に入る」と言うテーマで徹底解説していきたいと思います。

この記事を読むと分かること

  • 医局とは、どういうものか
  • 医局を選ぶ時のチェックポイント
  • いつ医局に入るか
  • 医局の入り方

 

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医局について

 

医局の構造

まずは簡単に、医局の構造について解説します。

医局は教授を社長、医局員を社員とした会社のようなものです。

医局は大学病院及び関連病院のポストと、医局員の人事権を持っていて、ポストに見合う医局員を派遣することで、勢力圏の医療を支えています。

ただ会社と大きく違う点があります。それは医局員を雇うのはそれぞれの病院であるという点で、医局から給料が支払われることはありません。

 

医局の目的

医局の主な目的は、教育、臨床、研究です。

・教育

教育の対象は、大学の学生や若手医師です。

医学部で授業をしていた教員の多くは、大学の教室(=医局)に属する医師たちです。

また若手医師には経験が積めるようなポストを斡旋し、また定期的に配置転換を行うことで、教育をしていきます。

「医局の若手は後輩」「医局全体で若手を育てる」といった文化があり、接点がない目上の医師にも親切にしてもらえることが多いです。

 

・臨床

臨床という意味では、大学病院および関連病院のポストを医局員で埋めることで、勢力圏の医療を支えています。

欠員が出た場合は、代わりの医師を派遣する、あるいは非常勤の応援で対応するなどでやりくりしています。

 

・研究

大学で研究を行っているのも、医局員です。多くの関連病院を抱えることで、希少症例を発見することができたり、大規模な研究を行いやすくなります。

また研究職を希望する医師だけでは、十分な研究をするに足るマンパワーが足りないため、期間限定で医局員に協力を要請する場合もあります。

 

詳しくはこちら
医局とは何なのか解説
【医局とは】医局の構造を、元医局員が簡単に解説してみた

 

医局に入るメリット

 

医局に入るかどうかを考えるにあたって、医局に入るメリットをみていきましょう。主なメリットはこちらです。

・関連病院で働ける
・休職するとき代理を立ててもらえる
・頼れる人が増える
・さまざまな環境を経験できる
・自分のキャリアについて迷わずにすむ/転職活動が不要
・専門分野がもてる
・定年後も仕事が用意される

 

症例の豊富な大~中規模病院を周回することで、経験や人脈が自然に増えていきます

キャリア形成や成長段階に合わせたポスト探しを、医局に任せることで、目の前の仕事や成長に集中できるというメリットがあります。

「医師としての成長」という意味においては、長期に渡って多数の医師が通ってきた道であり、「ハズレの少ない」選択肢かなと思います。

 

詳しくはこちら
医局に入るメリット
医局に入るメリット7選【元医局員が語る】

 

医局に入るデメリット

 

続いては、医局に入るデメリットをみていきましょう。主なデメリットはこちらです。

・人事異動
・何かとお金がかかる
・相場より安く働かなければならない時も
・自分のキャリアが人任せになる
・他人の人生の影響を受ける

 

医師としてのキャリアをある程度医局に任せられる代わりに、異動や金銭など生活面で負担を背負うことになります。

「他のことは二の次で、まずは医師としての成長を」と考える若手のうちは、気にならない人も多いようですが、年齢を重ね家族もでき将来のことを考え始めると負担に感じ始めるかもしれません。

 

詳しくはこちら
医局に入るデメリット
医局に入るデメリット5選【元医局員が語る】

 

医局に入る割合

 

初期研修修了後、どのくらいの医師が医局に入るかを推測できるデータがみつかったので、紹介します。

平成31年臨床研修修了者アンケート調査結果を元にみていきましょう。

これは平成31年3月に研究を修了した6,806名を対象とした、アンケート調査です(31年は新専門医制度の対象です)。

研修医全体

入局予定:79.3 %
入局する予定なし:11.5 %
わからない/決めてない/無回答:9.3 %

 

(初期研修終了後)大学病院以外での勤務を希望する研修医

入局予定:54.6 %
入局する予定なし:26.8 %(★)
わからない/決めてない/無回答:18.6 %

入局予定者は全体の約8割を占めており、「若手医師の大部分が医局に入る」と表現できるレベルだと思います。

 

ちなみに入局予定者の割合は、少しずつ増加していることが分かります。

73.7 % (H27)、74.2 % (H28)、76.8 % (H29)、77.9 % (H30)

 

また上記(★)のデータからは、

大学外のプログラムのうち、入局なしで専門医がとれるのは、3割くらい

と想像します(これはあくまで想像)。

 

「医局制度の崩壊」などと表現される昨今ですが、少なくとも若手医師という観点からは、まだまだ医局の勢力は強いようです。

 

医局を選ぶときのチェックポイント

 

医局見学など、医局を選ぶ際にみておきたい項目をまとめました。

ここをチェック!

  • 関連病院の数と範囲
  • 医局の支配力
  • 最近の医局員の増減
  • 結婚、出産、子育てへの配慮
  • 若手の教育
  • 教授の印象
  • 教授の年齢
  • 大学病院医師の収入
  • 大学院生の状況
  • 自由にアルバイトをしてもよいか

 

具体的には、

・関連病院一覧と人員配置
・生活=金銭面について、語ってくれるか
・若手の教育について、具体的に語ってくれるか
・教授との相性

をチェックすると良いと思います。

そして最終的には「自分の未来予想図に近い先輩をみて、そうなりたいと思えるかどうか」が重要な判断基準になります。

 

チェック方法
医局の選び方を徹底解説 チェックしたいポイント10選

 

キャリアのどのタイミングで入るか

 

医師としてのキャリアのどの段階で医局に入るかには3パターンあります。

・初期研修修了時
・専門医資格取得後
・それ以降

 

・初期研修修了時

医師3年目、初期研修の修了と同時に入局するパターンです。医局に入る時期として、最も多いです。

大学病院あるいは、大学医局関連病院の専門研修プログラムにのって、専門医資格取得を目指していくことになります。

 

・専門医資格取得後

医局に属することなく専門医資格を取得し、入局するパターンです。専門医資格を取得したタイミングで地元に帰る、という動機が多いようです。

入局をせずに専門医資格を取得することも、2021年現在可能です(科と地域の組み合わせによっては、難しいこともあります)。

 

・それ以降

専門医資格も取得し、その後の修行も終え、医師として中堅以降に医局に入るパターンもあります。

・本人が地元に帰るタイミングで
・有名な医師で、大学や関連病院がヘッドハントする

という2パターンがあります。

個人の感覚ではありますが、後に入局した場合のほうが要望が通りやすいと感じます。

「一から医局が育てた医師」よりも「スキルをもって医局に入った医師」のほうが丁重に扱われている印象です。

ヘッドハントしてきた医師を、医局人事であちこち異動させるわけにもいきませんものね。

 

詳しくはこちら
元医局員が途中入局について解説してみた

 

1年のうちいつ入るか

 

入るのは4月、意思表示は前年の夏まで

実際に入局するのは4月です。入局の決意をしそれを医局に伝えるのは、前年度の夏頃までというのが一般的です。

まず初期研修修了後に、専攻医として医局に入る場合です。

専攻医の募集は一次募集が11月、二次募集が12月なので、この時期より前には入局の意思表示をしておかなくてはなりません。

また専門医取得後に入局する医師も同様です。それぞれの医局で次年度の人事(人員配置)を決定する時期は、概ね決まっています。

4月人事の医局は、前年の秋~年末年始頃に人事が通達/決定される場合が多いです(医局ごとに違うので要確認)。決定の少し前が人事を組んでいる時期なので、この頃が入局を伝える期限です。

いずれの場合にせよ、夏頃までには入局を確定させておいたほうがいいでしょう。

 

前年度の春頃にはコンタクトを

医局に入るにあたって、一度だけ足を運んでそこで「入れてください」というのは、一般的ではありません(もともとコネクションや関わりがある場合を除いて)。

事前に、何度か足を運ぶ医師が多いです。

これは何も「一回目では断られる」とか、「誠意を見せなければ入れない」ということではありません。

医師側も、医局側も後々に大きな影響のある決断であるため、きちんと知ってから、という事情から来るものです。

特に医師側は、一生に関わる大きな決断であるため、入局挨拶とは別に何度か見学に行き、判断することをオススメします。

このため遅くとも入局の1年前=春までには、コンタクトをとっておいたほうが良いでしょう。

入局先を悩んでいた研修医が「とうとう決心しました」といっているのは、4-7月ごろが多いような気がします。

 

早く意思表示するメリット

「夏までには意思表示を」と書きましたが、より早く入局を伝えたほうがいい場合もあります。

「入局を決めてくれた順に、希望をきく、良いバイト先(高給、近いなど)を割り当てる」という医局が意外に多いのです(自らの経験や周囲への聞き取りから)。

「進路希望が通るか」や「バイト先の良し悪し」というのは、入局後数年間のQOLに大きく影響します。

 

もちろん「医局に入るかどうか、どの医局に入るか」というのは一生に関わる大きな決断です。迷っているならば、焦って決めるのは良くありません。

ただ心は決まっているのに意思表示を先延ばしにするのは、もったいないです。

 

※新専門医制度のシーリング(医師過剰地域の人気科は採用できる専攻医数が限られる)によって、希望者全員が入局できない場合があります。こういった地域、科を志望する場合は、より迅速な行動が不可欠です。シーリングのない地域でも、人気科に入局したい場合は同様です。

 

早く意思表示するデメリット

入局の意思表示を早くからするデメリットは、もし後に志望科が変わったとき面倒ということです。

再び、平成31年臨床研修修了者アンケート調査結果の登場です。下の表は、6806人に研修前後の志望科を聞いた結果です。

研修前研修後増減変更割合(%)
内科25222247-275-10.9
外科756649-107-14.2
小児556415-141-25.4
産婦399108-51-12.8
麻酔21432210850.5
救急187204179.1
精神2263118537.6
皮膚1782325430.3
整形369380113.0
1652205533.3
耳鼻1492045536.9
泌尿1452005537.9
脳外1661892313.9
放射1171513429.1
病理52641223.1
形成1121645246.4
リハ26431765.4
他/無回答467463-4-0.9

研修期間中に、内科系、外科系、小児科、産婦人科が大きく志望者数を減らした一方、その他の科は増やしています。

平成27年~30年をみても、傾向はほぼ同様です(27, 28年に脳外が、29年に整形が志望者減)。

内科系、外科系、小児科、産婦人科志望の初期研修医は、入局の意思表示を慎重に行ったほうが良いかもしれません。

もちろん志望科が代わっても、残念がられるだけで、嫌がらせを受けるということはありません。

ただ「考えが変わったことを、それまでの志望医局に伝えるのが憂鬱」と悩む初期研修医は、もはや春の風物詩となっています。

「夏以降に変える」のでなければ問題はないと思いますが、確かに憂鬱でしょうね。

 

医局の入り方

 

教授に挨拶にいくと入れる

医師であれば、何度か見学に行き、最終的に教授のところへ入局の挨拶に行くことで医局に所属できます。

通常それほどシビアな面接はなく、「ではよろしく」という医局が多いです。

契約書を交わすことはなく、口約束のみです。

簡単に入局できる理由

比較的簡単に入局できる理由は、下記の2つです。

・来るものは拒まず育てる、という伝統
・医局が雇うわけではないので、抱えておくのに金銭的なコストはかからない

 

入局が断られることは

入局が断られることは、全体でみれば多くはないですが、あります。

・人気科/シーリング

医局員として抱えるのにコストはかかりませんが、関連病院(働き口)には限りがあるため、人気の教室は入局できないということがおこりえます。

また先程も書きましたが、シーリングにかかる地域/科の場合は、希望者全員が入局できるわけではありません。

こういった場合は

・早くから関わりを持っておき(大学病院で研修をするなど)、早くに入局を伝える
・優秀であると認めてもらう

など、何らかの工夫が必要です。

入局に審査がある医局も、あるようです(入局前年の春~夏頃)。

 

・人格面

また人格に明らかな問題ありと判断されれば、他の医局員への影響も考慮し、断られることはあります。

 

ただ多く医局では、希望すれば高確率で入局ができます。

 

まとめ

医局の入り方についてまとめました。

ポイントは下記の通りです。

ポイント

  • 入局時期は、多くが初期研修終了後。その後もあり。
  • 入局の意思表示は、夏頃までに。
  • 何度か医局に足を運び、しっかり知った上で決める。
  • 早めに入局を伝えることには、メリットもデメリットもある。
  • 教授に挨拶に行けば、基本的には入局できる。

さて、今回は以上です。

この記事が、スムーズに入局をするためのお役に立てば幸いです。

 

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