医局に入る前

【医局とは】医局の構造を、元医局員が簡単に解説してみた

2021年5月3日

医局とは何なのか解説

 

医局について、実はちゃんとはわかってないんだよな。先輩やSNSで話くらいは聞いたことあるから漠然としたイメージはあるけど・・・医局ってどんなものか、簡単に教えてください。

 

こんな疑問に答えます。

この記事を書いている僕は学生時代から色々な医局を見学に行き、入局してから約8年間、医局員として過ごしました。その後は退局、転職を経験し現在に至ります。

医局を内側、外側の両方からみたことでわかった、医局の実態をお伝えしていきたいと思います。今回は医局の大まかな構造についてです。

医局のメリットやデメリット、裏話といった話の前に、おさらいしておきたいポイントをまとめました。

 

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医局を会社に例えると

 

ポイントは次の3点です。

・ 教授が社長、医局員が社員
・ 勤務先は大学病院と関連病院
・ 人事権とポストの独占権

 

教授が社長、医局員が社員

A大学 脳外科医局を例として説明します。

「A大学 脳外科」が企業名です。「教授」が社長で、「医局員」が社員にということになります。

 

勤務先は大学病院か関連病院

A大学病院 脳外科本店です。近隣にある、A市民病院や私立A総合病院の脳外科は関連病院とよばれ、これらが支店にあたります。

関連病院は、主に中~大規模な急性期病院から構成されています。

ここでのポイントは、関連病院の全ての科を抑えているわけではないということです。

つまりA市民病院 脳外科は、A大学 脳外科医局のものです。しかし同病院循環器内科は、A大学 循環器内科医局のものということになります。

 

人事権とポストの独占権

教授は人事権と、関連病院ポストの独占権を持っています。

教授は人事権を使って、大学病院と関連病院に医局員を派遣します。これによって、勢力圏の医療を維持していきます。

また教授にはこれらのポストの独占権があります。そのため医局員以外は、大学病院や関連病院で働くことはできません

以上、医局を会社に例えてみました。

 

医局と会社の違うところ

 

人事は医局、雇用主は病院

医局と会社と大きく異なる点があります。医局には人事権とポストの独占権があるだけだという点です。

あくまで医局員を雇うのは個々の病院です。医局が医局員を雇用するわけではなく、医局から給与が支払われるわけではありません。

給与はそれぞれの病院の基準で支払われます。医局の指示で病院を異動するときは、自己都合での退職ということになります。

医局の指示を受けて職場を異動するが、雇われるのは個々の病院に」このズレこそが、後に医局員にとって問題となります。

 

関連病院の決まり方

 

昔からの慣習で決まっている

医局の関連病院の範囲はどのように決まるのでしょうか。答えは、「昔からの慣習で決まっている」です。

県境ではっきりと区切られている、というわけではありません。A市民病院や私立A総合病院は、A大学 脳外科医局のもの(A大学系と表現されます)。でも同じ県内の南A病院は、B大学系ということが起こりえます。

あくまで一般論ですが、いわゆる旧帝大は関連病院が多く地方の私立大学は少ない傾向があるようです。

 

勢力図が変わることはある

ときに勢力図の変更がおこります。医局が不人気あるいは退局者が続出した等、人員不足になったときです。

医局員が激減したA大学 脳外科医局は、A市民病院から撤退するしかありません。しかし市民病院も科を閉めるわけにはいかないので、かわりにB大学から脳外科医が派遣されるようになる、というわけです。

関連病院を失うこと、イコール医局員の働き口を失うことです。

医局は必死になって、昔からの関連病院を維持しようとします。

 

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医局の目的

 

このように医局員と関連病院のポストを抱え、医局は何を目指しているのでしょうか。

・ 教育
・ 臨床
・ 研究

答えは、この3本柱で説明できます。

 

教育:学生、医局員の教育

まずは医大生の教育です。大学医学部の教員は医師です。他の学部のように、専属の教員として医師を抱えることはできません。

そこで大学(病院)に配属されている医局員が、学生の授業を行います。プリント配りや出席確認のような仕事をしているのも医局員です。

若手医局員の教育も、重要な使命です。医局員の質は大学病院をはじめとした、勢力圏内の医療の質に直結します。

違う病院に所属していても、医局全体で若手の教育をしようという風土があります。

また定期的に配置転換があることで、知識や技能の幅は広くなります。

異動は負担にもなりますが、メリットもあるということですね。
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臨床:勢力圏の医療を支える

医局には、勢力圏である地域の医療を支えるという使命があります。このため関連病院に医師を派遣し、欠員が出れば補充します。

また教育の項でも書きましたが、医局全体で若手の臨床能力を伸ばそうという意識が強いです。地域の子供を、周囲の大人がみんなで育てるイメージですね。

一般的に同じ医局の関連病院同士では、患者紹介やコンサルトがよりスムーズです。

医局の垣根を超えても当然可能ですが、全く知らない間柄よりは相談がしやすいです。コンサルト能力も、立派な医師の能力です。

 

研究:研究で成果をあげる

大学の教室は、研究で常に一定の成果を出すことが義務付けられています。

多くの医局員を抱えることで、研究に熱意を持っていたり、才能のある人材を発掘できるというメリットがあります。

また研究には労働力が必要です。「ちょっと2年間だけ手伝って」と、医局員は協力を要請されることがあります。

そして関連病院を多く抱えれば、希少症例を発見することができたり、大規模な研究を行いやすくなります。

医局員と患者さんを多く抱えることで、よりよい研究ができるというわけです。

 

医局の入り方

 

教授に挨拶にいくと入れる

医師であれば、教授に挨拶に行くことで医局に所属できます。それほどシビアな面接はなく、夕食を御馳走になって「ではよろしく」というパターンが多いです。

契約書を交わすことはなく、口約束のみです。

簡単に入局できる理由は

  • 来るものは拒まず育てる という伝統
  • 医局が医局員を雇うわけではないので、抱えておくのに金銭的なコストはかからない

という2点があげられます。

 

入局が断られることは

少ないですが、あります。医局員として抱えるのにコストはかかりませんが、関連病院(働き口)には限りがあるため、人気の教室は入局できないということがおこりえます。

近年はシーリングという制度も始まりました。簡単に言うと、都市部の人気科では専攻医(昔で言う後期研修医)の募集定員が絞られるという制度です。医局であっても、定員の上限を超えた新入局者の受け入れはできません。

 

また人格に明らかな問題ありと判断されれば、他の医局員への影響も考慮し断られることはあります。

ただし基本的に医局は人手不足で、希望すればほぼ入局ができます

 

まとめ

医局の構造について大まかに説明しました。

・医局とは教授が社長、医局員が社員とした会社のような存在
・会社と違うのは、医局員は医局ではなく病院に雇われるということ
・医局の目的は、教育、臨床、研究
・教授に挨拶に行けば、基本的には入ることができる

今回は以上です。

 

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