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医局に入る前

関連病院にとって医局ってどんな存在?メリット、デメリットを解説

2021年5月5日

関連病院にとって医局とは

 

医局について、大まかな構造はわかってきました。関連病院って、医局とどういう関係なのか具体的に教えてほしいです。

こんな疑問に答えます。

この記事を書いている僕は、入局してから約8年間医局員として過ごしました。その後は退局、転職を経験し現在に至ります。

医局の内側、外側の両方で働いたことでわかった、医局の実態をお伝えしていきたいと思います。今回は「関連病院からみて、医局がどういった意味を持つのか」についてです。

この記事を読むことで、市中病院が医局の関連病院となっている理由がわかります。そこで働く医師にも深く関わる内容で、働き方を決定する参考になると思います。

そもそも関連病院って何?という方は、こちらの記事【医局とは】医局の構造を、簡単に解説してみたをどうぞ。

 

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関連病院にとってのメリット

 

関連病院にとって、医局が存在するメリットは次の4点です。

・医師が安定供給される
・医師の給料に市場原理が働きにくい
・僻地でも医師を確保できる
・問題のある医師を異動させてもらえる

医師が安定供給される

関連病院は、必要な人員を医局から派遣してもらえます。病院自ら医師を探す必要がありません。募集をかける労力が省けますし、転職エージェントを通すコストもかかりません。

もし退職者が出れば、医局から補充されます。これにより安定して医療を提供することができます。2人欠けたので、2人足すという人数的な補充はもちろん、近い年代の医師が補充されることが多いので、量も質も安定します。

さらに大きなメリットは休職者が出た場合です。休職者は退職者と違い、いずれ復帰します。この状況に対処するためには、病院は普段から余裕を持って人員を抱えておくか、期間限定で雇える補充要員を探さなければなりません。

「1年間限定で働いてくれる、専門知識をもった医師」はそう簡単にはみつかりません。このニーズに答えるのが医局というわけです。

 

医師の給料に市場原理が働きにくい

給料は一般的に、需要と供給の関係で決まります(市場原理)。医師が不足している地域では給料を高く設定しないと、働いてもらえません。

しかし医局と関わることで、医局員が人事によって配属されるため、市場原理が働きにくくなるのです。

必ずしも、医局の関連病院=給料が安いというわけではありません。しかし少なくとも僻地の病院では、本来の相場よりもかなり低く抑えられている印象があります。

 

僻地でも医師を確保できる

僻地では給料を多少高く設定しても、医師が来るとは限りません。しかし医局からは人事によって医師が配属されるため、その心配がありません。

僻地の病院は、本来給料が高くないと医師が雇えない。しかしそれを補うだけの利益をあげるのも難しい。という状況にあります。

医局との関係性が弱まれば、こういった病院の経営は厳しくなっていくでしょう。

 

問題のある医師を異動させてもらえる

日本の労働者は、法律で強力に守られています。多少問題があっても、常勤医であれば簡単に解雇する事はできません。

しかし病院と医局が話し合いをした結果、問題がある医師を異動させてもらうことができる場合があります。

病院が直接解雇することはできませんが、人事を握っている医局の指示で自主退職→異動をさせることはできるというわけです。今のところ、これは違法ではありません。

大抵の場合医局も問題のある医師を認知しています。そういった医師は数年程度で病院を転々とさせる、目の届く範囲で働いてもらうなどの措置が取られていることが多いです。

 

関連病院にとってのデメリット

 

続いては、関連病院にとって医局のデメリットです。一言でいうと「医局のほうが立場が上」ということです。

極端な話「医局員を引き上げてもよろしいか」と言われてしまえば、ぐうの音も出ません。関連病院の病院長は、医局の長である教授に気を使う立場です。

具体的にデメリットを挙げるとすれば、次の4点です。

・医局の都合で医師数が増減する
・自由に医師を雇えない
・医師の入れ替わりが激しくなる
・非常勤として大学の医師を雇わなければいけない

医局の都合で医師数が増減する

医局員の人数が減れば、関連病院に派遣できる人数が減ります。医局としても、本音では派遣したくとも、無い袖は振れません。

逆に人気の医局で人員が過剰である場合は、多くの医師が関連病院に派遣されます。関連病院としては、多少ならば過剰であっても雇わざるを得ません。

 

自由に医師を雇えない

人員が不足したときや、良い人材が独自で雇えそうな時、医局と関係なく雇いたいと思うことがあるかも知れません。しかしそれは基本的にできません

そのような場合は、採用したい医師に「医局に入ってもらえないか」と話をします。Yesといえばいいですが、拒否された場合は採用は困難です。

 

医師の入れ替わりが激しくなる

人事異動により、医師が頻繁に入れ替わります。経験上、関連病院の全医師のうち10-20 %程度が毎年入れ替わるイメージです。

長期に渡って病院にいて、その病院の事情やシステムを熟知している「生え抜きの医師」は育ちにくいです。病院への帰属意識も希薄になります。

数年でその病院を去ることが決まっていても、当然目の前の患者さんのためにベストは尽くします。

しかし根本的なシステムの改善などに手をつけようという意識は、どうしても低くなります

またこれだけの入れ替わりがあれば、事務方の作業は大変です。

4月のお仕事ぶりには本当に頭が下がります。

 

非常勤として大学の医師を雇わなければいけない

大学病院の給料は、相場と比較し異常に安いです。本来であれば、医師を雇用できる水準にありません。

そこで、大学病院の医師は週2回程度、外の病院でバイトをします。そのバイト先の一部が関連病院です。

関連病院でのバイト代は、相場よりも高く設定されていることが多いです(特に教授などの場合)。これには常勤医局員の派遣の、お返しという側面があります。

ただし専門知識をもった大学病院の医師が来ることには、メリットでもあります。

週1回であっても、難しい症例を気軽に相談できるからです。

仕事量ではなく「質」で貢献、という場面はしばしばあります。

 

未来の関連病院と医局の関係(まとめにかえて)

 

以上、関連病院にとっての医局のメリット、デメリットを解説しました。デメリットも挙げはしましたが、それを十分補うだけの経営上のメリットがあります

関連病院は医局の医師供給能力を前提として、経営が成り立ってきました。

医局-関連病院の関係、まさにWIN-WINです。両者にとってなくす理由がなく、今後もしばらく維持されて行くでしょう。

しかし近年は働く側の医師が、医局に所属するデメリットを嫌う傾向にあります。

今後医局-関連病院の関係が維持できなくなるとすれば、個々の医師の行動の結果からくるものでしょう。

こうなると関連病院は「医師の確保」という大仕事を、自らで行わなければならなくなります。

今回は以上です。

 

こちらの記事では、医局に入るというテーマで、詳細に解説しています。これから医局に入る人は参考になると思います。

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