医局に入る前

医局の選び方を徹底解説 チェックしたいポイント10選

2021年5月7日

 

医局に入ることは決めました。でもA大学の循環器内科にするか、B大学の循環器内科にするか迷っています。どうしたものでしょう。
私はA大学であることは決めていますが、第一内科か、総合内科かで迷っています。医局選びのポイントを教えて下さい。

こんな悩みに答えます。

 

この記事を書いている僕は学生時代から色々な医局を見学に行き、入局してから8年間、医局員として過ごしました。その後は退局、転職を経験し現在に至ります。

 

元医局員として、「いいと思ったこと」「しんどいと感じたこと」をもとに、医局を選ぶときにチェックしたいポイントをまとめました。

「こんな医局が良い/悪い」というのは価値観によるものなので、特徴を挙げてそれぞれのメリット、デメリットの両面を書きました。

この記事を読むと、外からでもどんな医局か把握しやすくなると思います。

では、いきましょう!

 

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1. 関連病院の数と範囲

 

・多く、広い

医局員は関連病院間での、人事異動があります。そして異動には、下記のようなメリットもあります。

・診療経験を積める
・頼れる人が増える
・マネジメントを学べる
・人間関係で煮詰まりにくい
・いろいろな土地に住める

 

ただ関連病院の数が多く分布範囲が広いと、異動機会が多くなります。複数の県にまたがって関連病院が広がっているならば、引っ越しや単身赴任が増えます。

勤務地の希望を聞くという医局もありますが、その多くが「目安にする程度」までです。

いざとなれば関連病院一覧に載っている病院の、どこも働く可能性があると考えておいたほうが良いでしょう。

 

・少なく、狭い

逆に関連病院の数が少なければ、異動は少なく、短距離になります。

ただし学べる環境が少ない、居づらくなっても移り先がないというデメリットはあり、煮詰まってしまう可能性はあります。

関連病院のポストが開かず、長く大学病院にいるということも起こりやすいです。

 

・多く、狭い

関連病院数はそれなりにあるけど狭い範囲にかたまっている、という医局がみつかれば異動の負担という面では良いかもしれません。

 

2. 医局の支配力

 

医局の支配力は、上層部の人柄や入局者の数、風土やネームバリューで決まります。武闘派の教授、多数の入局者、旧帝大系など歴史的に力が強かったという特徴をもつ医局は、支配力が強い傾向があります。

 

・支配力が強い

支配力が強ければ、人事がより強制的になりやすいです。急な異動や遠方への異動も増えがちです。

良い点は、関連病院=働き口が必要な時に増えていきやすいことや、欠員が出たときの補充がスムーズである点が挙げられます。

カチッとした雰囲気の医局になりやすいです。

 

・支配力が弱い

逆に支配力が弱ければ、異動に関して個々人の意見が通りやすくなります。異動も少ない印象です。

ただ人員が不足した場合や欠員が出た場合は大変です。強制的な人事ができないため、不足したまま、あるいは自分で応援要員をみつけるなどしなければならないことがあります。

のんびりした雰囲気の医局になりやすいです。

 

3. 最近の医局員の増減

 

・増えている

いわゆる人気医局であり、雰囲気がいい、教育制度がしっかりしているといった何らかのポジティブな特徴があるはずです。あるいは、人気科だからという要因もあるでしょう。

人員が充実しており、先の数十年間は人手不足で悩む可能性は低そうです。

ただデメリットもあります。代わりの人員がどんどん入ってくるということなので、人事が強権的になりがちです。

これは何も、医局が意地悪だからというわけではありません。医局員が急に増えれば勤務先の確保が難しくなります

場合によっては、遠方の病院にまで勢力を広げていかなければなりません。

また人が増えれば急な欠員がでることも増え、これを埋めていかなければなりません

 

・減っている、少ない

逆に医局員が減っている、少ないということは、それはそれで気にかかる要素です。

人が減っている理由を分析し、自分に影響があるかないかを判断しましょう。

医局自体が悪いというわけではなく、もともと志望者が少ない科であったり、田舎だからなどの理由であれば、大切に扱われる可能性もあります。

 

4. 結婚、出産、子育てへの配慮

 

センシティブではありますが、避けられないポイントです。

家庭をもった女性医師も、他と同様に異動や仕事量の多い病院での勤務をしているかという点です。

こういったことへの配慮が少ない場合は、一定年齢以降の女性医師が去ってしまい、極端に少ないということが起こります。

逆に遠方への異動や急な異動、仕事量の多い病院での勤務を、主に男性医師、独身医師で回しているという医局もあります。

いずれの場合も、関連病院とそこで勤務している医師一覧をみれば傾向がわかります。ほとんどの場合、大学医局の壁に貼ってあります(ネットでみられる場合も)。

難しい問題であり、社会的な善悪は一旦置きます。「自分の未来予想図」に相当する人が、どの程度の負担をしているか確認するといいでしょう。

 

5. 若手の教育

 

若手医師の教育に熱心か、という点です。これは見学に行ったとき、「若手の教育のためのシステムを作っているか、そして定期的に教育のための時間をとっているか」で判断できます。

別の言い方をすれば、教育のために具体的な労力をかけているか、これをきっちり語ってくれるか、ということです。

医局の功績や日々の診療についてばかり語られる場合は、単に労働力としてみられているかもしれません。

ただし「若手教育に熱心」にはデメリットもあります。当然ながら、将来的には自分が若手のために時間をとらなければならない、ということです。

また自分のペース、自分のやり方で、自分の好きな勉強をしたい人にとっては重荷になる場合もあるでしょう。

 

6. 教授の印象

 

医局の雰囲気や方針は、教授の影響を大きく受けます。

時間をとって教授と話してみて、印象を確認しておくことが重要です。自分と教授との2人の会話もそうですし、若手医局員(先輩)も交えての会話もできるといいでしょう。

それぞれに相性があるので、一概に「こんな教授は良い」「こんな教授がだめだ」ということはありません。

ただこのときに感じた印象は、後々「正しかった」と感じることが多いです。

自分の勘を信じて。

 

7. 教授の年齢

 

教授は65歳で退官となり、代替わりをします。この前後の数年間というのは、医局の状況が変化しがちです。

まず退官前です。長年の医局運営でなんらかの“ひずみ”ができている場合があり、医局員も“その後”を見越して、動き始めます。

なんらかのきっかけで退局者が出て、ひずみがより大きくなり、それを補う人事が起こり、さらに退局者が増えるという循環が起こりやすいです。

退官への花道として学会の主催が増えるなど、日常業務以外が忙しくなるのもこの時期です。

退官後、医局内部から新たな教授が決まれば、比較的影響は小さいです。しかし外部から来た場合は、運営方針が大きく変化するかもしれません。この時代に…とも思いますが粛清ということも起こります。

この期間には医局全体が慌ただしくなり、個人としても影響を受けるかもしれません。

医局に属している以上、これは避けられないイベントです。自分がいくつのときに、それを迎えるかです。

 

8. 大学病院医師の収入

 

医局員として長く働いていると、一定期間は大学病院での勤務を行う可能性が高いです。

関連病院勤務であれば、給料などの雇用条件はその病院の規則で決まるため、医局の関与する余地は少なく、また異常な雇用条件はそうありません。

ただ大学病院はそうはいきません。大学病院からの給料はかなり安く、さらに無給医~教授まで、役職によってその幅が大きいです。

これを補うのがアルバイトですが、十分に良いアルバイト先が提供できるかで差が出ます。

収入面に関しては高いに越したことはありません。

入局前の判断基準として、医局員の金銭面について医局側から説明してもらえるかは大切です。

ポイント

積極的、具体的に説明がある場合は、医局員の生活に関心を持っているということなので、プラスポイントです。

逆に医学や仕事内容の話に終始するのは、マイナスポイントです。

 

9. 大学院生の状況

 

大学院についても、確認しておくこともおすすめします。

ポイントは次の3つです。

・大学院進学が必須か
・大学院期間の収入
・所定の年数で卒業できているか

 

大学院進学が必須か

大学院は学ぶことが多い一方、金銭面や体力面で、負担になりやすい期間でもあります。

大学院進学が義務である医局もあるので、この点は確認が必要です。

 

大学院期間の収入

大学院の期間は、アルバイトが収入の大部分を占めます。

・週に何回アルバイトにいけるのか
・1回にいくら貰えるのか
・医局から斡旋されるのか、自分で探さなければならないか

このあたりが確認事項です。

 

所定の年数で卒業できているか

先輩医師が大学院を所定の年数(通常4年)で卒業できているかは、重要なチェックポイントです。

大学院卒業までの期間は、次の4つの要素で決まります。

・個人の努力
・研究以外の業務量
・4年で終えられる研究課題かどうか
・「ここまでで論文を書いていい」と言ってもらえるか

 

個人の努力は大きな要素です。ただ研究以外の業務量が多すぎると、苦労をします。

さらに「4年間で終えられる研究課題か」、「どこまでの成果で論文を書くか」は、指導医による部分が大きいです。

高度な研究を行い、どんどん成果を積み上げて、良い論文を書くと医局や指導医の功績になります。しかしそれだけ大学院生の仕事は増え、期間が伸びていきます

ほとんどが4年で卒業できる医局は、医局員への配慮が感じられ、大きなプラスポイントです。逆に優秀で勤勉な先輩医師が、4年を超えて大学院にいる場合は要注意です。

本当に「ここまででOK」と言わない指導医というのは存在して、下についた時点で詰んでしまうということがあります。

 

ポイント

大学院生の待遇には、医局の方針がよく現れます。自分が大学院に進学するかはさておき、この点は医局選びの良い判断材料になります。

 

10. 自由にアルバイトをしてもよいか

 

自分で見つけたアルバイトをしてもよいか、という点です。

禁止されているからといって、進路の変更をするほどではないと思いますが、自由であるに越したことはありません。

 

まとめ

医局選びの判断基準となる、10項目とそのメリット・デメリットを解説しました。

チェックポイント

  • 関連病院の数と範囲
  • 医局の支配力
  • 最近の医局員の増減
  • 結婚、出産、子育てへの配慮
  • 若手の教育
  • 教授の印象
  • 教授の年齢
  • 大学病院医師の収入
  • 大学院生の状況
  • 自由にアルバイトをしてもよいか

こういった点をチェックすると、外からでもどういった医局か把握しやすいです。

 

そして最もシンプルな判断基準は

「自分の未来予想図に近い先輩をみて、そうなりたいと思えるかどうか」

です。

 

この記事が医局選びの参考になれば幸いです。

今回は以上です。

 

下の記事では、医局に入ること全般を、詳細にまとめています。よろしければどうぞ。

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