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医局のここが怖い。医局制度の闇 10選【対策あり】

2022年5月17日

医局の闇・怖い話

 

こんにちは、コアライ ミナトです。この記事を書いている僕は元医局員で、退局・転職を経て、現在は常勤医として働きながらブログを書いています。

今回のテーマは「医局の闇」です。

 

医局って多くの若手が所属する反面、どこか怖いイメージもありますよね。今回は僕自身、そして周囲の医師が見聞きした、医局の怖い話についてまとめてみました。

あくまでも複数の医局のエピソードを寄せ集めた記事であり、全てが1つの医局で起こったことではありません。また全ての医局で、同じようなことが起こっているわけではありません。

「こんなこともあるんだな~」程度で読んでいただけたらと思います。

 

では、行きましょう!

 

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① 僻地などに関わる医局人事

 

医局人事、特に僻地や激務病院に関わる人事には、医局の特性がよく現れます。

「みんな一度は僻地に行かされる」。こんな人事に怖いという印象を持つかもしれませんが、実際はそうではありません。「一部の人を、行かせたっきり戻さない」という方が、よっぽど怖いです。

 

・医局のお気に入りではない
・人が良い
・家族の収入源がその人だけ
・家を建てた
・県内に実家がある

こんな「辞めにくい属性の医師」は選ばれやすいです。そして一部の人が負担をするため、医局全体としては不満が溜まりにくいです(外からは、理解のあるホワイト医局にみえることも)。

 

僻地に行くことになった医師の中には、医局を辞める人もいます。ただ僻地勤務の場合は、転職でも不利になりがちです。経験が偏りやすいですし、転職活動をするための休みは取りにくいです。僻地からでは、病院見学などにかかる労力も大きくなります。

そうして悩んでいるうちに子供が成長し、賃貸物件の選択肢が少ない僻地では家を建てざるを得なくなったり、学校が決まってしまったり、といったことで少しずつ動きにくくなっていきます。

こうして仕方なく根を下ろした医師をみて、「嫌がっていたけど、最終的には満足したようだし、良い人事だっただろう」などというわけですね。

 

② ご祝儀バイト

 

医師のアルバイトの時給は、一般的に10000円くらいと言われています。定期非常勤であれば、提供している価値を考えると15000円くらいまでが妥当でしょう。

しかしこれを大きく超えるようなアルバイト先も、医局は持っています。それが可能になる最大の理由は、医局員を常勤医としてそこに送っているからです。「常勤医を引き上げましょうか?」という圧力になるわけですね。

病院としても採用コストをかけることなく、相場よりも低い待遇で常勤医が雇えるので、その分を上乗せして、教授や医局長に支払うというわけです。こういったバイトは、ご祝儀バイトとも呼ばれます。

 

常勤医(医局員)にとって、僻地かつ給料が安い不人気病院。そんな病院に医局幹部がアルバイトに行っていたら…まぁそういうことです。

時給計算すると10万円くらいの高額バイトも未だにあるようです(最近では珍しいのかもしれませんが)。不思議なほど高いバイト代には、ちょっとした闇を感じますね。

 

③ 高額な寄付金

 

医局や大学病院への寄付金も、「闇」といえるかもしれません。

ある調査によると、医局から医師派遣を受けている病院の約35%が「大学・医局への学術奨励金等の研究費等の支援をしている」と回答したそうです。

関連病院の1/3が医局に寄付をしているというのは、なかなかショッキングな事実ではないでしょうか。金額の内訳は下の通りで、少額とは言いにくい水準にあります。

病院数割合
500万円未満14876.3 %
500~1000万円2914.9 %
1000~1500万円84.1 %
1500~2000万円52.6 %
2000~2500万円31.5 %
2500万円以上10.5 %

 

さらに同調査では、自治体立病院の8 %が支援を行っていることも明らかにされています。公的病院のあり方として、疑問を感じてしまいますよね。

参照元:平成27年地域医療再生に関するアンケート調査報告書

 

上記のような研究目的以外にも、大学の記念行事などがあると、医局員個人や関連病院が多額の寄付金を支払うことになります。立場によっては、個人で百万円単位の寄付をすることもあるようです。

 

④ 50代以降の異動

 

一般企業と異なり、医師は異動に伴い、職場を「自主退職」することになります。これにより、賞与や有給休暇、退職金がリセットとなります。

特に退職金は、額が大きい上に税制面で優遇されるため、そのリセットはインパクトが大きいです。退職金には、長期間勤務するほど多くもらえる(10年勤務×2箇所<<20年勤務1箇所)、自主退職では大きく減額されるという特徴もあります。

この金銭的なマイナスを医局員個人が被っているわけです。50代以降に異動になる医局員もいますが、こういった人たちは数百万円では済まない額のマイナスを被ることになります。

厳しい人事であっても、受けるしかないんですよね…

 

具体的な金額の試算はこちらの記事にまとめています。

関連記事
医師が医局人事で失うお金は○万円!?試算をしてみた

 

逆に言うと関連病院は、適度に医師のローテーションをしてもらうことにより、金銭的利益を得ていることになります。こういった利益の一部も、ご祝儀バイトや寄付金の形で医局に還元されるというわけです。

 

⑤ 関連病院からの撤退

 

ここまで書いてきた通り、医局上層部と関連病院は基本的にwin-winの関係にあります。ただその関係性が崩れると、医局員の派遣を中止する=関連病院からの撤退ということが起こります(珍しいことはありません)。

理由や状況は、様々です。

・医局の要求を関連病院が拒否した
・関連病院が理不尽な要求をした
・上層部同士の個人的ないざこざ
・・・など

 

もちろん「関連病院側に問題があっての退職」という場合もあります。ただ科のトップから末端に至るまで、あるいは複数の科をまたいで、交渉の余地なく一斉に退職を希望するというのは、明らかに不自然です。

「もう少しこの病院で働き続けてもいい」「家庭の事情から動きたくない」という人も、一定数いるはず。こういった人も含めて、医局の思惑で強制的に退職させているという側面も、確実にあるのです。

こうして医局-関連病院間のいざこざは、社会的・金銭的損失として、医局員が個人で被ることになります。

 

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⑥ 仲が悪い医局員の左遷

 

医局上層部と「仲が悪い」「意見が合わない」。こんな医局員が左遷されるというのは、珍しいことではありません。

最もよくある左遷は、「遠方の関連病院に異動になる」というものです。これは比較的ソフトなパターンです。

より厳しい場合、「もう医局でポストを用意しないから、自分で探すように」ということになります。こうなると医局の勢力圏外で、就職先を探すことになります。このパターンは教授戦からしばらく経過したときに、中堅~ベテラン医局員に降りかかることが多いです。

「(遠方の県)の学校や病院から、先生を招きたいという声がある。行ってくれないか」という、左遷もあります。医局の圏内ですらなく、これまで通りの仕事を続けることは難しくなります。縁もゆかりもない土地なので、アルバイトのツテもないでしょう。

 

臨床主体の医師であれば拒否して退局ということも可能ですが、研究が主体の場合は従わざるを得ない場合も多いです(研究の世界は狭いので)。

いずれの場合も「栄転です!」といって花束を渡して送り出すのですよね…なんとも恐ろしい話です。

 

⑦ なかなか卒業できない大学院

 

大学院というのは、なかなか闇の深い期間です。「大学院をなかなか卒業させてもらえない」ということが、きつい医局ではよく起こります。

規定年数で卒業できない理由は、こんな感じ。

・臨床医としての仕事が忙しすぎて、そもそも研究の時間が取れない。
・研究でほどほどの成果が出ても、検討事項を増やすなどの理由で論文化させてもらえない。
・そもそも研究が、規定年数で終わるように設定されていない。

これによって、5年、6年と大学院に居続けることになるわけです。

 

大学院生というのは、社会的に不利な立場です。十分な給料は支払われませんし(無給医など)、常勤医ではないため年金や保険と言った点でも不利になります。もちろん学費はかかり続けます。

反対に医局にとって、大学院生はありがたい存在です。大学のポストや十分な給料を与えることなく働かせることができますし、研究を積み重ねさせるほど医局の功績は大きくなります。また医局員はコストを支払って大学院にいるわけなので、学位が取れるまでは医局を辞めにくいです。

大学院生というのは、医局員の中でも弱い立場です。弱い立場の人がどう扱われているかというのは、医局を判断する材料になりますね。

 

⑧ 使途不明の医局費

 

医局員は「医局費」という名目で、毎月一定額が請求されます。額は医局によって様々ですが、5000~15000円/月くらいが相場です。例えば医局費10000円、医局員が30人だとしたら、年間360万円が医局に入るわけですね。

そしてこの医局費については、多くの医局で会計報告がされておらず、使途は謎に包まれています。

 

医局主催の食事会(若手の勧誘)や歓送迎時の贈答品、医局や研究室の物品購入に使われるのが一般的ですが、教授のタクシー代や医局秘書の福利厚生に当てられていたとの話もあります。

今思うと医局の食事会では、医局費とは別にその都度会費を支払っていましたし、研究費をポケットマネーで支払うのもおかしいですよね。医局ごとに3倍も金額が異なる理由もよく分かりませんし、最近のご時世で食事会が減っているにも関わらず、医局費が減額になったという話は聞きません。

用途がわからない、年間数百万円~の医局費。いったい何に使われているのでしょう。

 

⑨ 強引な引き止め

 

医局が合わず辞めようとしたとき、強引な引き止めが行われることも多いです。よく使われる引き止めの言葉はこちら。

・医局の関連病院外には、成長できるいい病院はない
・医局はこれほど手をかけてやったのに…
・医局を辞めると、近隣で働きにくくなる

 

「退局前の数年間、僻地などの不人気病院に勤める」という規則が残っている医局も、未だにあるようです。

こうして医局を辞める際に、悩みや問題を抱えてしまう医師は少なくありません。結果として、退局代理.comという退職代行サービスができるほど…

転職に関する情報が少なかった一昔前ならともかく、このご時世に強引な引き止めなんてほとんど成功しないでしょうし、わずかな引き伸ばしに成功したところで何の解決にもならないと思うのですが。

 

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⑩ 本当の闇はもっと深い

 

ここまで医局の闇・怖い話をまとめてきましたが、30代医師が見聞きした程度であり、実際はもっとシビアな話もあるはず。ベテランの医師からは、「こんなのは大した闇ではない」と言われてしまうかもしれません。

さらにいうと、ここまでやっても教授や医局長など医局の上層部は、決して「オイシイ立場」ではありません。負担を考えると、得られる年収も権力も割に合わず、なり手が不足しているのが現状です。

医局が、上から下まで理不尽なほどの負担をしても、結局は誰もウハウハしていない。これこそが、医局制度や日本の医療の深い闇なのでしょう。

 

対策は2つ

 

なかなか厳しい現実が続きましたが、科(専門領域)と地域の組み合わせによっては、医局に入らざるをえない人もいるのではないでしょうか。そんなときの対策は、下記の2つです。

・辞められる医局に入る
・長く医局に留まらない

 

辞められる医局に入る

「辞める時のハードルが低い医局に入る」というのは、最も有効な対策です。もし自分に合わなかったとしても、辞めることが難しくなければ、軌道修正することは可能です。

辞める前提で医局を選ぶというのはなんとも…ですが、そもそも辞めていく人=考えの違う人に優しくできる医局は、居心地が良い環境になりやすいです。

まずは教授や医局長とじっくり話してみてください。将来辞めると伝えたとき、「わかった。頑張って」と背中を押してくれそうな医局はおすすめできます。逆に怒り出しそうなところは、考え直したほうがいいかもしれません。

 

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長く医局に留まらない

どんな医局にも多かれ少なかれ、闇はあります。医局によって闇の深さは様々で、比較的過ごしやすい環境もありますが、時間とともに環境は変わっていきます。

教授の変更やスタッフの退局をきっかけに、崩れていく医局をいくつもみてきました。

 

医局員でいる以上は、常に連帯責任・一蓮托生で、他人の都合に大きく影響を受ける人生を歩むことになります(フォローしてもらえる場面もありますが)。

こんな制度が合わないと感じるのであれば、「資格と技術を手に入れる」「医局外の病院でも活かせる専門性を持つ」など、医局に依存せずに生きていく術を早々に取得し、自分のタイミングで決断をすることをおすすめします

 

まとめ

今回は「医局の怖いところ・闇」のうち、一般的な医局員が経験しやすいものを中心に解説しました。

ポイント

  • 僻地などに関わる医局人事
  • ご祝儀バイト
  • 高額な寄付金
  • 50代以降の人事異動
  • 関連病院からの撤退
  • 仲が悪い医局員の左遷
  • なかなか卒業できない大学院
  • 使途不明の医局費
  • 強引な引き止め
  • 更に深い闇

 

みなさんが、ご自身の価値観に合ったキャリアを歩まれることを、祈っています。

さて、今回は以上です。

 

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