医局に入った後

医局人事って拒否できる?状況ごとに解説

2021年5月16日

医局人事って拒否できる?

 

医局にいて、人事異動が少しきつくなってきました。医局人事って拒否できるのでしょうか?

こんな疑問に答えます。

 

この記事を読むと分かること

  • 医局人事の実態
  • 拒否できる可能性のある状況
  • 人事を拒否して、医局を辞めることについて

 

この記事を書いている僕は元医局員で、退局、転職を経て現在に至ります。医局人事って、なかなか負担が大きいですよね。高頻度であったり、転居を伴ったりすると、特に...

医局員時代にはうまく立ち回っている人から、人事がきつくて医局を辞めてしまう人まで、いろんな医師をみてきました。

今回はそんな経験をもとに、「医局人事と拒否」というテーマで解説します。

 

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基本的に拒否できない

 

医局人事の強制力

結論から言うと、医局人事は拒否できないと考えておいたほうがいいです。まずこの点を、解説していきます。

そもそも医師という職業については、労働者派遣業務が禁止されており、医局も企業も医師を「派遣」することができません。「派遣」ではなくあくまでも「紹介」であり、本来そこに強制力はありません

表向きには、医局は「異動させる権利」を持っていないというわけですね。

 

ただここに、下記のような事実が加わります。

・医局側の判断で、医局を辞めさせることはできる。
・関連病院のポストには、「医局からの紹介」という前提で就いている。

 

こうして医局員は、

・医局人事を飲むか
・医局自体を辞めて転職するか

という2択が迫られることになります。

 

医局員が拒否するという判断をした場合、今度は医局側が、

・退局させるか
・医局側が折れるか

という選択をすることになります。

医局側が折れるというのは稀なので、実質的に「拒否できない」ということになります。

 

拒否が認められにくい理由

医局側が拒否を認めにくい、具体的な理由は以下の2つです。

・診療に影響が出る
・他の医局員への示しがつかない

 

診療に影響が出る

医局には、勢力圏の医療を維持するという役割があります。医局員が送れないとなると、その病院の診療が滞り患者さんにまで影響が及ぶ可能性があります。

あまりにも人員が不足した場合は、関連病院の科自体を閉める、あるいは他大学の関連病院に変わってしまうということが起こります。

この状況をおしてまで、一医局員の希望を通してくれることは稀です。

 

他の医局員への示しがつかない

医局員が働きたい病院というのは、競合する傾向にあります。もちろん多少の違いはありますが、便利な場所で、給料のいい、人員の充実した病院で働きたいというのが多数派です。

ある人が拒否することを認めた場合、別の人も拒否する可能性が高いです。公平を期すならば、どの人の拒否も認めなければならなくなります。

このあたりが不公平になると、長期で医局を運営していく中で、ひずみが大きくなっていきます。

 

拒否できる可能性のある状況

 

人事を拒否することは難しいですが、状況によっては拒否できる場合もあります。拒否できる可能性があるのは、次の2つの場合です。

・納得されるだけの理由がある
・まだ正式な通達ではない

納得される事情がある

育児、介護、個人の健康状態など、周囲が納得するだけの事情があれば、拒否できる場合もあります

この辺りの線引きは、教授や医局長といった人事権を持つ人の価値観が影響します。

個人の事情を考慮する医局は人が多く残りやすい一方で、「事情のないと判断された人」に負担が集中しやすいという面もあります。

 

事情のうち健康面に関しては、余程の持病がある場合を除いて、意外と通りにくい印象です。

健康は他人から測りにくいというのが、理由のひとつです。また人事を拒否したい医局員が、よく「健康」を口にするため「またそれね…」と流されてしまうということもあるようです。

健康面に関しては、「理解されないから諦める」ではなく、むしろ自分で自分を守るという意識を持つことが大切です。

 

まだ正式な通達ではない

正式に人事として通達された場合は拒否することは難しいですが、「ゆくゆくはこんな方針」という打診段階であれば、断れる可能性があります

上層部に気に入られる、頻繁に医局の飲み会に参加するなどして情報収集し、事前の根回しが成功すればうまく断れる可能性があります。

この段階であれば、他の人への影響は少ないですし、非公式なので拒否したという構図になりにくいです。

 

医局人事でうまく立ち回れる人は、この辺りが上手です。

結局、医局人事も人間が決めることです。上層部と密にコミュニケーションをとって、いい関係を築くことが自分の希望が通ることに繋がります。

 

もし拒否できても...

 

運が良ければ、医局人事は拒否することができるかもしれません。ただそれは根本的な解決にはなりにくいです。

「今年あの病院に行くことさえ避けられたら、その後はどうなってもいい」のであれば、解決になるでしょう。しかし実際はそうではないはずです。

 

ココがポイント

いったん拒否できても、来年以降に同じような人事が高確率で行われます
今回望まない人事が起こったことは、単発の偶然ではありません。

 

人事の方針というのは、医局ごとに大まかに決まっています。全ての医局員共通の方針もありますし、「この人には、こんな人事をしてもいいだろう」という判断が個別にされている場合もあります。

繰り返しになりますが「望まない人事」は偶然ではなく、一度は拒否できても、よく似た人事が高確率で後に起こります。

むしろ「一旦要求を聞いてあげたのだから」と、よりシビアな条件を示されることもあります。

 

定年まで時間があるなら、「本当の意味で人事を拒否する」には医局を辞める以外には難しいです。こうして一定数の医師が、「人事がつらくて医局を辞める」という決断に至るわけですね。

 

人事を拒否して退局する選択

 

告げられた人事を拒否して、そのまま医局を辞めるというのは、一つの選択肢です。

 

この選択のメリット

この場合は、当然ですが、「望まない人事を飲む必要がない」というメリットがあります。

体調を崩すような過酷な勤務や、僻地への転勤を避けられるのは大きいですよね。

 

この選択のデメリット

ただしこの選択をすると、スムーズに辞めることは難しくなります。一旦決まった人事を組み直さなければならない、他の医局員に影響が出るというのがその大きな理由です。

また「人事(医局運営)が不満で辞める」ということがはっきりと伝わってしまい、これも揉める原因になります。

結果として、下記のようなデメリットがうまれます。

・転職活動に費やせる期間が短くなる。
・次年度の職場が確約されない。
・稀に、医局からの妨害がある可能性も。

 

一度は人事を飲む選択

 

医局を辞める決心はするものの、一度は異動を受け入れ、数年後に辞めるという選択肢もあります。

 

この選択のメリット

一旦人事をのむことのメリットは、以下の2つです。

・スムーズに辞められる可能性が上がる
・ゆっくり転職先を探せる

前の項の、「人事を拒否して医局を辞めたら」の反対です。

 

この選択のデメリット

デメリットは以下のとおりです。

・望まない環境で働くことになる
・その場しのぎの人事を我慢することになる
・転職が遅れる

 

望まない環境で働くことになる

人事異動は1年刻みということは少なく、一旦異動したら2年程度の任期でその病院で勤めることが期待されます。

医局とうまくやるということを重視するのであれば、2年程度はその環境で働かなければなりません。

2年というと、人生において短い期間ではなく、家族がいる場合さらに影響は大きくなります。健康が問題になる場合には、より慎重な判断が必要となります。

 

その場しのぎの人事を我慢することになる
「こんな人事をしたら、いずれ辞められるかもしれないけれど、当面は言うことを聞くだろう」

このように「一旦は飲むことを当て込んだ人事」をされることもあります。

余裕のない医局や、お礼奉公の文化のある医局で起こりやすいです。こういった扱いを「良し」とできるか、という心情面も問題になります。

 

転職が遅れる

いい転職先がみつかるかどうかは一期一会です。そして皆が望むような転職先には限りがあります。この先、医師の転職活動が楽になっていくか、厳しくなっていくかでいうと、後者ではないかと感じています。

大学からの大量離職が度々ニュースになるなど、多くの医師が医局から離れて転職するというのは、時代の流れではないでしょうか。

またコロナウィルスの影響で病院経営が悪化し、求人を絞っているという話が、身の回りの病院から多く聞かれます。

ゆっくり転職活動をするというのは、メリットでもありデメリットでもあります。

 

人事が負担になった時の考え方

 

ここまでは、医局人事の実態を解説してきました。これをもとに、どう考え、行動するかです。

僕なりの考えをまとめてみたので、良かったら参考にしてください。

 

拒否したいと感じ始めたら

人事を拒否したいと感じ始めたら、それは医局を辞めるタイミングかも知れません。50代以上であれば現状維持も選択肢ですが、40代以下はこの先の医師人生が長いです。

生活面、仕事面、金銭面での負担も軽くはありませんし、「異動があるかもしれない」という不安は、日々の行動や満足感に大きく影響します

 

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医局を離れ人事異動から開放されてみると、「中長期で自分や家族の人生設計を立てられる」ということのありがたさを強く感じます。

 

退局するタイミング

あまりに希望と違う人事をされた時、すぐ医局を辞めるか、一旦飲むかという点です。

まず自分や家族の健康が問題になる場合は、迷う必要はなく、すぐに辞めるべきだと思います。「健康を害する可能性がある」ならそれで十分で、体を壊してみせることはありません。

過重労働になりそうなポストや、遠距離通勤、単身赴任が必要になりそうな場合ですね。

 

健康が問題にならない場合は、そのときの心情や価値観次第です。

スムーズ・円満な退局ができるというのが、大きなメリットであることは間違いありません。一方で円満かどうかは、最終的には医局側の考え方など、運の要素が大きいのもまた事実です。

医局の意向に反してでも歩みたい人生があるならばすぐに希望を通すのもよし、医局とその後もうまくやるために人生を少し曲げるのもよしです。

 

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早めの転職活動開始を

医局を辞めるという決断をした場合は、早めに転職活動を始めることをおすすめします。

人事を拒否してすぐ辞める場合はもちろん、一旦人事を飲んで数年後に辞める場合でも同様です。

早くから転職活動をするメリットは下記の通りです。

・自分や家族の希望を、明確化する時間がとれる
・自分に合う転職エージェント(担当者)を選ぶ時間がとれる
・満足のいく求人が出てくるのを、待ち構えることができる
・「先延ばしにして、また次の人事異動の話が来てしまう」という事態を避けられる

 

一般的な医師の転職活動の期間は2ヶ月半~3ヶ月と言われています。僕は1ヶ月半で転職先がみつかりました。医師の転職活動に「必要な期間」は、それほど長くありません。

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ただ転職するまで時間があるのであれば、じっくりと転職活動ができるというメリットを取り逃すのはもったいないです。

 

医局を辞めるかを迷っている場合も、

このまま医局にいる未来 と 自分がもらえるオファー

を具体的に比較することで、迷いに決着がつくかもしれません。

 

まとめ

医局人事を拒否することについて解説しました。ポイントをまとめると、下記のとおりです。

ポイント

  • 正式決定であれば、拒否は難しい
  • 打診の段階であれば、断れるかも
  • もし拒否できても、根本的解決にはならない
  • 拒否してすぐに辞めると、波風は立つ
  • 一旦人事を飲む場合は、転職が遅れる
  • 体調面が問題になるなら、速やかな行動を
  • そうでないなら、人生観と向き合って決める
  • 早めの転職活動の開始を

 

この記事が、キャリア設計の参考になれば幸いです。今回は以上です。

 

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こちらの記事では、医局を辞める手順や考え方を詳しく解説しました。

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「まだ医局を辞める決断ができない」という方は、こちらの記事をどうぞ。決断前から、少しずつ進めておける準備をまとめています。

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