こんな悩みに答えます。
大学院時代って学べることが多い一方、きつい期間でもありますよね。
僕自身は運良く卒業できましたが、優秀なわけでも研究への熱意が高いわけでもなく、なかなか苦労しました。辞めたいと思ったこともあります。
こんな経験を元に、「大学院を辞める」というテーマでまとめました。
この記事を読むと分かること
- 方針を決めるための材料となる、6つの確認事項
- 続けるか辞めるかの、判断基準と考え方
- 大学院を辞める方法
①自分の体調を確認
まずはご自身の体調について確認してみてください。健康あってこその仕事であり、博士号です。
大学院期間はやるべきことが多く、生活も不規則になりがちです。
ポイント
体調が良くないならば、産業医や心療内科などへの相談をすることも検討してみてください。
状況によっては「休職」なども選択肢になります。
「大学院を続けるか、辞めるか」という重要な判断は、冷静な状態でしたほうがいい場合もあります。
忙しく働きながら、正しい判断をする、あるいは辞めた後の仕事をみつけるのは大変です。
ポイント
体調に関する周囲の理解が得られれば、労働環境が改善したり、卒業のハードルが下がるかもしれません。
②そもそも卒業できるかを確認
次に、
・そもそも卒業できるのか
・卒業までに、あまりにも長い時間がかからないか
を確認します。
卒業までの期間を決める要因は、次の4つです。
・個人の努力
・研究以外の業務量
・4年で終えられる研究課題かどうか
・「ここまでで論文を書いていい」と言ってもらえるか
大学院において卒業までの期間は、個人の努力や才能だけでは決まりません。
「そもそも研究素人からスタートして、4年間で終えられる課題か」、「指導医が、ここまでで論文を書いていいよと言うか」
も大きな要素です。
先輩がどの程度の期間で卒業できているかをみれば、おおよその予測はできます。
自分より優秀・勤勉な先輩が卒業までに長い時間がかかっていたら、スムーズな卒業は難しいかもしれません。
というあなたの感覚は、正しいように思います。
③博士号を持つメリットを確認
続いては、自分にとって博士号を持つことの意味を確認してみましょう。
医師にとっての博士号を持つ意味は、主に下記の2つです。
・教授になるために必要
・院長や部長になるために必要であることも(病院の規模や種類による)
これ以外に
・博士号を取れた場合の達成感や満足感
・博士号を取れなかった場合の落胆
といった気持ちの面も大きいでしょう。努力が実を結ばないのは、非常につらいものです。
ただ研究や論文、そして専門分野に対する「知識と経験」に関しては、確実にあなたの中に蓄積しています。博士号があってもなくても、「知識と経験」が奪われることはありません。
こういった観点から、自分が描く将来の働き方や「博士号」に対する自分の気持ちを、明確にしてみてください。
④金銭面について確認
大学院にいることで、現在負担しているお金について確認することも重要です。
まず学費です。年間50-60万円はかかっています。
大学院生の多くは正社員待遇ではないので、国民年金は全額自己負担になります(正社員ならば、会社と本人が半分ずつ負担)。厚生年金はこの期間、入ることができません。
大学にいることで、医局費も5000~10000円程度が毎月かかっているのではないでしょうか。
収入に関しても、普通に市中病院で勤務するより安くなっている可能性が高いです。今の自分が大学院を辞めたらいくら稼げるのか知っておくことは重要です(これに関しては次の項で)。
⑤今の自分の市場価値を確認
上でも書いたとおり、今大学院を辞めたらどれだけの待遇を得られるか、把握することも非常に重要です。
金銭だけでなく、労働時間や家族との時間、ストレスなどもこの項目に含まれます。
医局にバレずにこれらを把握するために、転職エージェントへの登録をおすすめします。
自ら病院へのアプローチを掛けてしまうと、当然周囲にバレてしまいます。
転職エージェントは、周りの医師に知られることなく、実際に自分が働けるポストの提示をしてくれます。
「まずは登録せずに、公開求人をみてみる」というのも、悪くはありません。
ただエージェントホームページの公開求人は、
・たくさんある非公開求人が、含まれていない
・書かれている年俸が、正確でない
(残業時間が何十時間も含められている場合も多い→金銭面での把握ができない)
・その他、雇用条件の詳細がわからない
というデメリットがあります。
登録をすると、より正確な自分の市場価値を知ることができます。
⑥医局への愛着を確認
最後は、医局への愛着を確認してみてください。この先も医局で長期にわたって、働いていきたいと感じるでしょうか。
「居心地がいい」、「医局での仕事にやりがいを感じる」という場合は、大学院にとどまる方向に一票入ります。
「医局の体制」や「医局とあなたの関係性」は、大学院を卒業しても劇的に変わるわけではありません。ここに価値を見いだせるかが、ポイントです。
・続けるか辞めるかの判断基準の例
ここまでの6つの確認事項を元に、続けるか辞めるかの判断をしていきます。
辞めるための判断基準の一例は、下記の通りです。
・健康を害する「可能性がある」
・そもそも卒業できる可能性が高くない
・金銭面で困窮する
・医局や博士号への愛着が少ない
これらの多くを満たす場合は、辞める方向に傾くのではないでしょうか。
特に重要なのは健康面です。これは1つでも十分です。
「このままでは健康を害する可能性がある」というのは休む、あるいは辞める理由になると思います。「可能性」で十分で、体調を崩すまで待つ必要は絶対にありません。
・漠然とした者同士を比べない(超重要!)
この記事のもっとも重要なポイントです。
大学院を辞める or 辞めない
という悩み方では、結論はなかなか出ません。漠然としたもの同士を比べてしまっているからです。
大学院生を続けたときの仕事や生活 or 辞めたときの仕事や生活
これを、できるだけ具体的に比較してください。6つの確認を行えば、これができるはずです。
ポイント
2つの未来を具体的に比較をした上で、悩み、決断してください。
・大学院を辞める方法
大学院の辞め方には、2種類あります。
・医局は辞めず、大学院だけ辞める
・医局自体を辞める
医局は辞めず、大学院だけ辞める
あなたが医局にまだ残りたい、かつ医局も許可する場合はこちらの方法になります。
確証のない話にはなってしまいますが、比較的この方法は通りやすいように思います。
医局としても、こう言われてしまっては、「医局自体を辞められるよりは」という流れになると想像します(あくまで個人の想像)。
医局自体をやめる
・あなたが、医局に残りたいと思う
・医局が、大学院を辞めることを許可する
どちらかを満たさない場合は、医局をやめて転職をすることになります。
「医局を辞める」徹底まとめ~方法・メリット・乗り越え方~
医師転職の流れを完全解説~エージェント登録から入職まで~
これらを参考にしてください。
現在の制度では、大学院がつらくなる頃には専門医資格を持っている人が多いと思います。
専門医資格さえあれば、かなり楽に転職活動を進めることができます。
・メールの文例
医局とこれらの話をするにあたって、面と向かっては切り出しにくいと思うので、アポイントメントを取るメールの文例をのせておきます。
上記のいずれのパターンでも、使えると思います。
<メールの文例>
〇〇教授
平素より大変お世話になっております。コアライ ミナトです。
A. 折り入ってご相談したいことがあるのですが、お時間をいただけませんでしょうか。お忙しいところ誠に申し訳ありません。よろしくお願いいたします。
B. 私事で申し訳ありませんが、今後のことについてお伝えしたいことがございます。〇〇日頃までに、一度お時間をとっていただけますと幸いです。
・まとめ
大学院をつらい、辞めたいと思ったときの考え方について、解説しました。
6つの確認事項
- このままで、体調を崩す可能性はないか
- このままで、卒業が可能か
- 博士号は、自分にとってどれだけの価値があるか
- 大学院に、どれだけの金額がかかっているか
- 今の自分の市場価値は、どのくらいか
- この先も、医局員として働きたいか
これらを明確にし、
このまま大学院に残った未来 と 大学院を辞めた未来
を具体的に比較してみてください。
これが決断をする第一歩です。
今回は以上です。この記事が、将来を考えるきっかけになれば幸いです。
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・面接は〇〇を通して申し込むのがおすすめ
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・〇〇の時期は、気分が落ち込みやすいので心の準備を
など、重要ポイントも多数解説しています。