こんな疑問に答えます。
この記事の内容
- 医局が斡旋したバイト以外を禁止する理由
- 理由ごとの対処法
- そもそも医局にバイトを制限する権限はない
- 「バイトが自由か」は、医局を判断する基準の1つ
この記事を書いている僕は、医師歴の大半を医局員として過ごしました。その後は退局、転職を経て、現在に至ります。
「自分で勝手にバイトを探してはいけない」。実際、こんな医局はあります。
僕が所属していた医局も、明言されなかったものの「なんとなく、ダメなのかな…」という空気が流れていました。
ただそんななかでも、自分でみつけたバイトをしていた同僚もいました。またはっきりと禁止されている医局で、こっそりバイトしている医師に実情を教えてもらったこともあります。
こんな経験をもとに、今回は「バイト禁止の医局」というテーマで解説します。
斡旋したもの以外を禁止する理由
医局が、斡旋したもの以外のバイトを禁止する主な理由は、下記の3つです。
・医局の非常勤ポストを維持したい
・力を貸したくない業種がある
・医局の仕事に尽力してほしい
医局の非常勤ポストを維持したい
医局が保持している非常勤ポストは、医局の財産であり、医局員の生活のために欠かせないものです。医局は、これをなんとしても維持しようとします。
基本的に昔からの持ちつ持たれつの関係性なので、突然非常勤先の病院側からこれを切られることは少ないです(最近は経営状況の悪化から時に起こるようですが)。
ただし、医局員の派遣が途切れてしまったら話は別です。一度途切れてしまった場合は、再開しにくくなります。
つまり医局としては、絶え間なく保持しているポストに医局員を送りたいという意図があります。
医局員が勝手にバイトを探して、医局が保持しているポストに空白ができると、都合が悪いわけです。
力を貸したくない業種がある
「医局としていい印象を持っていない業態があり、そこに力を貸したくない」ということです。
例えば、自由診療や検査の請負業のような業種が対象になりやすいです。こういったものに、医局員が関わらせたくない医局もあるようです。
医局の仕事に尽力してほしい
「余力があるならば医局の仕事をしてほしい」「自らの診療能力を高める時間にしてほしい」という言い方がされます。
ただこれに関しては、なかなか理解しにくいものがあります。業務外の時間をどう使うかは個人の自由です。
実際のところ、「なんとなく禁止」というニュアンスに近いです。
それぞれの対処法
禁止されている理由次第では、交渉によって自分で探してもOKとなる場合もあります。
いずれの理由で禁止されていても、まずは伝え方が重要です。
・きちんと医局の上層部との関係性ができてから切り出す
・家計が苦しい、知り合いに頼まれてなどといった理由を伝える
・期間限定であることを伝える
・無理そうならば引く
といったことが必要ではないでしょうか。
理由ごとのポイントは以下のとおりです。
医局の非常勤ポストを維持したい
この場合は、医局が斡旋するバイトは通常通り行いながら、並行して行うならば許可される可能性があります。
関連病院で勤務している場合は、そもそも医局からバイトを斡旋してもらうことはありませんので、ハードルが下がるかもしれません。
力を貸したくない業種がある
この場合は、別の業種に限定することを伝えれば、許可されるかもしれません。
医師以外の仕事ならば、さらにハードルは下がります。「昔からの夢であった絵本作家に」という話であれば、禁止されることは非常に稀でしょう。
医局の仕事に尽力してほしい
これを言われてしまうと、覆すのは困難です。「なんとなく禁止」はどうしようもありません。
この場合でも、医師以外の、いわゆる副業であれば許可される場合はあると思われます。
ただ余談ではありますが、医局に属したまま医師以外の副業をする場合、注意が必要です。異動があるからです。
病院によっては、特に公的病院では、副業が禁止されているところも多いです。こういった病院に異動になると、副業の継続が難しくなります。
また異動によって、遠方へ引っ越ししなければならない場合もあるでしょう。より忙しい病院に移り、余力がなくなる可能性もあります。
実は禁止されていない
医局員が「禁止だと思いこんでいるだけ」のパターンもあります。糸口を見つけるためにも、医局長や教授に確認してみてもいいかもしれません。
医局がバイトを禁止することはできない
バイト禁止の実態
ここまでは、「医局に許可をもらったうえで、バイトする」という方向で解説してきました。
しかしそもそも法律上、医局の権限でバイトを禁止することはできません。
医局員は医局に雇用されているわけではないので、職場の規定で禁止されていないならば、制限される謂れはないわけです。
※職場の規定で禁止されている場合は、バイトはできません。
「許可があればバイトができる」という体裁をとっているところも多いですが、ハードルは高めですし、可否の判断に医局の意志が反映される可能性はあります。
近場だとバレやすいのは事実
こんなことを考える医師はいますし、それも1つの手ではあります(職場の規定に反しない限り)。
ただ、医療の世界は狭い世界。何年か継続していると、医局の誰かにバレてしまう可能性はあります。
バレ方として主なものは、外来医師として病院の扉や壁に貼ってある名札です。医局員や家族がその病院を受診すれば、鉢合わせることはなくても気づかれてしまいます。
また外来以外であっても、紹介状や検査結果票などから気づかれます。医師の名前は、思った以上に様々な書類に記載されています。
経験上、
・距離が近い
・業態・分野が近い
・自らのコネクションを使う
こんな条件を満たすと、バレやすいですね。
多くのバイト先を検討し、「少し離れた病院を探す」「異なる業態・分野を探す」ということをすると、バレにくいように思います。
懲罰を受けたという話は聞かない
とはいえバイトがバレたことで、左遷されたり、医局をクビになったりといった懲罰を受けたという話は、これまで聞いたことがありません。
あくまでも自己判断ということになりますが、個人的には「職場の規定がクリアできるならば、自由にバイトをすれば良いのでは」と思います。
医局に対する判断基準の1つに
「自由にバイトができるかどうか」は、医局を判断する上で重要な基準の1つになると思います。
・医局員にとっては、「その医局にとどまるか」
・入局前の若手にとっては「その医局に入るか」
という判断ですね。
日本が豊かだった頃は、常勤医だけをやっていれば裕福な生活ができました。
しかし現状すでに、勤務医はそれほど裕福ではありません。税金は高いですし、医師の給料や国からの補助・控除は、ゴリゴリと削られていっています。
そういった状況下では、バイトをすることが「生活レベルを維持していくための生命線」になっていくように思うのです。
まとめ
バイト禁止の医局というテーマで、解説してきました。要点は、以下の通りです。
斡旋したバイト以外を禁止する理由は、
・非常勤ポストの維持
・力を貸したくない業種がある
・なんとなく禁止
それぞれに、ある程度の対処法はあります。
・そもそも医局がバイトを禁止する法的根拠はない
・職場の規定で禁止されることはある(これは守るべき)
・近場だとバレやすい
・個人的には、自由にバイトをしたらいいと思う
・「バイト禁止」は、医局を判断する材料の1つ
さて、今回は以上です。
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