今回のテーマは「転職の回数」です。
近年では「医局で一生勤め上げる」というキャリアプランが崩壊し、多くの医師にとって転職は身近なものになっています。
一方で医師の採用においては「人間性」がかなり重視されるため、あまりに転職回数が多いと、不利になってしまうことがあるのもまた事実です。
そこで今回は、下のような内容を中心に解説をしていきたいと思います。
この記事の内容
- マイナスイメージになる基準
- 転職を繰り返さないためのポイント
- 転職回数が増えてきたときの対策
この記事の根拠
エムスリーキャリアエージェントを直接取材してみた~強み・評判・転職のトレンド~
医師転職ドットコムを直接取材してみた~強み・評判・転職のトレンド~
Dr. 転職なびを直接取材してみた~強み・評判・転職のポイント~
「転職を繰り返す」って何回から?
という質問に対する、転職エージェント各社の回答は以下のとおりです。
医師の年齢や転職理由にもよるので一概には言えませんが、1~2年での転職が続いていると、自施設でも早期退職されるのではないかと懸念を持たれる事が多いです。
引用元:エムスリーキャリア取材記事
回数の目安で言うと3回以上は、医療機関に相談の際は退職に至った事情説明を併せて行うことを意識しております。(ライフイベント・家庭事情・キャリアアップ・勤務先の体制の問題など、事情をお伺いした上でお伝えする方法は相談しております)
また、勤務期間が短期間(1年未満)というケースや、2~3年スパンで転職が続いているケースも、医療機関は気にされることが多いです。
引用元:医師転職ドットコム取材記事
年齢によっても変わってくるので一概には言えませんが、3年未満での転職を複数回繰り返していると、採用担当者から長く勤務してもらえないのではないかと懸念を持たれてしまうことがあるようです。
引用元:Dr. 転職なび取材記事
医局人事はノーカウント
ちなみに、医局人事に関しては、
医局人事での異動期間は短期間・回数が多くても問題ございません。
とのことです。
つまり理想をいうと、こんなかんじですね。
・自己都合での転職は、3回くらいまで。
・1箇所で5年くらいは働きたい。
転職前の10年弱の間に、3つの病院での勤務歴があったため、転職候補の病院の全てから「この勤務歴は医局人事によるものですか?」という確認をされましたね。
複数病院の勤務はメリットも
病院を変わるメリット
「職場を転々とするのは不利になるかもしれない」一方で、さまざまな環境を経験することは、医師が成長をしていく上で不可欠でもあります。
多くの病院で勤務をするメリットは、下記の通り。
・様々な症例、手技を経験できる。
・頼れる人が増えていく。
・組織のマネジメントを学べる。
医局人事で異動をするメリット6選【元医局員が解説】
1つの病院で長期間勤めてきたのは良いけれども、その結果「知識・経験が偏っていて、できる業務が少ない」というのも、それはそれでマイナスです。
と説明できれば、むしろプラスに評価してくれる病院もあるはずです。
「転職回数を気にしてチャレンジを控える」というのも、もったいない話です。あくまでもバランス、ということですね。
転職回数の実態
では一般的な医師は、職場の変更をどのくらい経験しているのでしょうか。
それぞれの世代の医師が、「転居」を何回しているかというデータをお示しします。転居と転職・異動は必ずしもイコールではありませんが、ある程度の推測は出来るはずです。
10年ごとに2回程度転居を経験していることから、やはり「1箇所で5年間の勤務」というのが一般的な目安になりそうです。
病院を転々としないために
職場を転々とするのは、本人としても負担が大きいですよね。そうならないための対策をまとめてみました。
候補病院のここをチェック
転職候補の病院について、労働条件等をきちんとチェックをすることで、「思っていたのと違った」ということが減るはずです。例えば、こんな項目。
① 給料
② 土地
③ スタッフの人柄
④ 仕事量
⑤ 入局の有無
⑥ 病院の経営状況
⑦ 定年
⑧ 副業の可否
詳しいチェック方法や注意点は、下の記事にまとめています。
医師が転職で失敗しないために候補病院でチェックすべきポイント8選
・多くの病院を比較すること。
・可能な限り実際に足を運んでみること。
・決まった条件は契約書に記載してもらうこと。
がポイントです。
転職についての考え方
職場を転々としないためには、個人の考え方もやはり重要です。
(医局人事で)いくつもの病院で勤務してきましたが、「理想の職場」というのは正直ないといっても良いと思います。仮にあったとしても、時間とともに少しずつ変わってしまうんですよね。
無限に我慢し続けることもありませんが、出来る限りは「今ある条件の中」で、どうすれば自分の理想に近づけるかを考えるようにしています。
ちなみに転職エージェントが考える、「長く働ける職場をみつけるためのポイント」はこちら。
入職前に「何を実現したくて転職するか」が明確な医師は早期退職になりにくい印象です。また、入職後に何を期待されているかをしっかり把握して勤務のイメージを持つ事も重要です。求人票だけではそのイメージが持ちにくいかと思うので、コンサルタントを活用いただきたいです。一人では決められない事も多いのでご家族などとも相談いただけると良いかと思います。
引用元:エムスリーキャリア取材記事
納得するまで転職活動を行ったうえで入職された方は、転職後も勤務先で長く活躍されている傾向があるように感じます。「すべてが理想の転職先」は存在しないので、意に沿わないことが起こっても、周囲と協力し合って解決し、自分で納得して決めた勤務先で希望のキャリアを築いていらっしゃる方が多いです。
一方で現職への不満から、知人に勧められるがままに比較検討せず転職をして早期退職になってしまった先生や、転職するたびにもっと好条件の施設があるのではないかと思い、短期間の退職を繰り返してしまう先生のお話も聞いています。共通するのは、エリア内の可能性をくまなくリサーチして「ここがベスト」という納得感が得られないまま転職活動を終えてしまったため、いざ入職後に不満が溜まり、すぐに他に目が向いてしまう点です。
引用元:Dr. 転職なび取材記事
・自分の希望の明確化
・病院の希望の明確化
・「くまなく探してベストだと感じた」という、やり切った感。
転職に踏み切る基準
いざ転職をするかどうか、という時になると、
こんな不安が湧き上がってくるのではないでしょうか。気持ちはめちゃくちゃ分かります。
そんなわけで、今回まとめてきたような内容から、「転職に踏み切る基準」を僕なりに考えてみました。
・「最低5年くらいは、ここで働けそう」というイメージを持てる
・「ここはイマイチかも」という点が少し見えていたとしても、うまく対策をし、順応していくイメージを持てる
転職回数が増えてきたら
最後は、転職回数が増えてきた時の対策についてです。実際やむを得ない事情というのも、ありますよね。
プライベートなど自分を取り巻く環境が大きく変わってしまったり、病院自体の経営破綻や雇用条件の急激な悪化してしまうなど、どうしようもない事態というのはあります。
そうなってしまったら、転職エージェントに相談するのがおすすめです。
インタビュー記事でも答えているように、エージェントからも医療機関に、退職の経緯を説明してくれます。「エージェントは転職させるのが仕事」ではありますが、それでも第三者の立場から伝えてもらうというのは有効です。
またエージェントを通して交渉をしていると、早い段階、つまり面接前に事情説明ができるというメリットがあります。
自分でやり取りをしていると、年齢や経歴によっては、履歴書の段階でバッサリ切られてしまうことも多いようです(実際に転職で苦労をした医師の話)。
さらに、転職を繰り返す中で「自分の希望」がより明確化しているはずなので、多くの候補の中から、希望にあったものを探してもらえることにも繋がります。
まとめ
「転職を繰り返す」「病院を転々とする」というテーマで、解説をしてきました。ポイントは下記の通り。
ポイント
- 3回以上の転職はマイナスかも。
- 勤務期間が3年未満もマイナスかも。
- 医局人事はノーカウント。
- 複数病院での勤務は、メリットもある。
- 「5年働けそう」が決断する基準。
- エージェントへの相談も検討。
この記事が、「長く落ち着いて働ける職場」を手に入れる参考になれば、幸いです。
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