こんな疑問に答えます。
この記事を書いている僕は医局員として過ごしましていましたが、その後退局、転職をして現在に至ります。
幸運にも1回でいい転職ができ、ずっと働きたいと思える職場を手に入れることができました。
そんな僕が「転職活動時にチェックした病院選びのポイント」を解説します。それぞれのポイントについて、確認するときのコツも添えました。
それではどうぞ。
① 給料
働くにあたって、給料は重要な要素です。苦労して転職をするのであれば、給料アップを目指したいですよね。
確認したいポイントはこちらです。
・基本給
・後の増額予定
・残業代
・福利厚生(手当、学会費用、引っ越し費用の負担など)
・退職金
基本給
まずはここです。なにを当たり前のことをと言われるかもしれませんが、気を付けたいポイントがあります。
・基本給の提示には残業代が含まれていることがある
面談前に提示される「給料」は、経験上「残業を〇〇時間した場合」として提示されることのほうが多いです。
公開求人のモデル年棒も、同じように残業代を含んでいます。
非常に驚いたのですが、医師転職においてはこれが常識のようです。具体的には次のような提案のされ方をします。
A病院1000万円(残業月20時間した場合)
B病院1200万円(残業月30時間した場合)
C病院1100万円(残業月50時間した場合)←!?
これでは比較のしようがありません。
エージェントさんを通して、まずは残業無しの基本給を提示してもらいましょう。
・税金を考慮しよう
下記は、額面年収とそれに対応する手取り年収を並べた表です。
額面年収 | 1000万 | 1100万 | 1200万 | 1300万 | 1400万 |
手取り年収 | 718.1万 | 781.8万 | 845.5万 | 906.5万 | 959.4万 |
額面年収が100万円増えても、手取り年収は50-60万円程度しか増えません。もちろん50-60万円も大金ではあります。
ただ手取り年収の差は、額面年収の差額の半分程度であるという点も考慮に入れて、病院同士の比較をするといいでしょう。
後の増額予定
多くの方が、転職先の病院で10年、20年と働くことを想定しているのではないでしょうか。それならばどのように給料が伸びていくかは重要です。
できれば転職エージェントを通して、40歳の時点では〇〇円といった目安を聞いてもらいましょう。
これに関しては信用をするしかないのですが、聞くことができれば判断基準の一つにはなります。
残業代
きちんと残業代が支払われるかは、大切です。
残業代が給料に含まれている病院や、就業時間は17時までだが残業代は20時からだけという病院もあります。
福利厚生(家賃など手当、学会費用、引っ越し費用)
手当や福利厚生は、それぞれの額は大きくありませんが、塵も積もれば、です。これら含めて年収がいくらになるかで判断しましょう。
ただし「業績給」「調整給」あるいは〇〇手当といった項目が多い場合は、注意が必要です。これらは病院の経営状態によっては、基本給より下げられやすいという側面があるそうです。
僕が過去に働いた病院でも、財政が悪化したため〇〇手当を廃止しようかという議論が起こっていました。
退職金
法律上は退職金を導入する義務はなく、退職金がない病院もあります。しかし退職金は〇千万円単位の規模のものあり、これの有無は非常に重要です。
また退職金は、日々の給与よりも税金が安くなります(退職所得控除)。このため退職金の差は、給料としてイメージする差よりも大きなインパクトを持ちます。
退職金は年々減少傾向にあり、僕達が退職する頃にどれだけもらえるかはわかりませんが、大切なポイントであることは間違いありません。
※面接結果で減額されることは通常ない
病院での面接前に給料を提示してもらうわけですが、面接結果によって事前の提示より減額されることは、基本的にありません(複数のエージェントさんに確認済み)。
というのも僕はある病院に面談に行った際、
「実は事前に提示したこの金額は出せないのだけど、うちで働いてほしい」
といわれたことがあります。
こういったちょっとした引っ掛かりに関しては、エージェントさんに相談した方がいいと思います。
その引っ掛かりがどういった意味を持つのか、おかしな病院ではないか判断する材料になります。
② 土地
転居を伴う場合、勤務地や居住地がどのような場所かは重要な要素です。
現住所や実家との距離といった地図上の話はもちろんですが、都会へのアクセス、治安、教育施設、災害など日々の生活が快適かどうかチェックしましょう。
熱心なエージェントさんはこのあたりも調べて、「近くの進学校はここです」などと事前に教えてくれます。
また同居する家族がいるならば、病院見学/面接の際に同行してもらい、「そこで生活するイメージを持てるか」をみてもらうことをオススメします。
転職は家族にも大きな影響のあることなので、そこへの配慮は必要です。
③ スタッフの人柄
これも仕事していくうえで、重要項目の一つです。特に上司の人柄は、仕事の快適さに大きく影響します。
これに関しては相性の問題なので、具体的なアドバイスするのは難しいです。会話してみた感覚やこれまでの人生経験を総動員して、ご判断ください。
ちなみに僕は働きやすさをみる際に、こんなところに注目しました。現在、職場の人たちと良い人間関係を築くことができており、正しい見方だったのではないかと感じています。
・スタッフの経歴(バックグラウンドを掴む)
・「ずっと〇人でされているんですか?」と尋ねてみる(離職率や離職理由の確認)
・部署内の若い人が元気か(部下として働きやすいか)
④ 仕事量
これをチェックするコツは、日頃から自分がこなしている仕事量を数値化しておくことです。入院患者〇人、検査が〇件でスタッフが〇人ならこれくらいの忙しさ、というのを常々測っておくといいです。
経験を積めばなんとなくこの辺りはつかめてきます。しかし意識をして、自分がした仕事量とそれがどのくらい大変であったかを覚えておけば、早いうちから正確な判断ができるようになります。
また自分のできる仕事量を数値化しておくと、面談の時に「このくらいは担当できます」と自分を知ってもらうことに繋がります。
残業時間についても確認しておきましょう。
病院側は残業時間について、かなり正確に把握しています。はっきりと答えてもらえない場合は、注意したほうがいいかもしれません。
⑤ 入局の有無
中~大規模の病院であれば、どこかの医局の関連病院である可能性があります。
医局はもう懲り懲りと思っている方は、そういった病院を避ける必要があります。
ただ「入局はあるが人事異動は無し」という病院もあるので、これを可とすると候補病院は増えます。
⑥ 病院の経営状況
これについてもかなり重要視しました。赤字が膨らんでおり、それを解消する方針を打ち出せないのは大きなマイナスポイントです。
日本の病院は、どこも経営が楽ではありません。実際に厚労省は、全国の公立病院の3分の1に「統廃合を含めた再編の検討を求める」という方針を発表しています。
せっかく転職をしても、病院がつぶれてしまっては元も子もありません。そこまでいかなくとも、吸収合併や減給というのは珍しいことではありません。
経営が赤字か黒字かくらいは、確認したほうがいいかもしれません。
【医師転職】転職候補病院の経営状況を確認すべき理由
⑦ 定年
定年は、60歳あるいは65歳の病院が多いです。今後年金減額や長寿化は避けられないことなので、何歳まで働けるかは重要な要素です。
現状では医師は人手不足なので、定年後もそのまま働ける場合が多いですが、この先どうなっていくかは不透明です。
医局に属している場合は、定年後も勤務先が用意される場合が多いです。しかし医局に属さないのであれば、自分で仕事を確保しなくてはなりません。
⑧ 副業の可否
副業可能かどうかは、この先の日本で生きる上でかなり重要になってくると思われます。
これまでであれば医師は1つの常勤先で働いてさえいれば、それなりに裕福に暮らすことができました。
しかし今後は増税や医療コストの削減などで、それが厳しくなっていくと考えています(個人的な予想ではありますが)。
まとめ
転職候補の病院で、是非チェックしたい8つのポイントを解説しました。
① 給料
② 土地
③ スタッフの人柄
④ 仕事量
⑤ 入局の有無
⑥ 病院の経営状況
⑦ 定年
⑧ 副業の可否
これらの多くは、病院に足を運ぶ前に知ることができます。
仕事しながら転職活動をするのであれば、見学/面接できる病院の数は限られます。事前にエージェントさんにこれらの点をしっかり確認してもらい、まずは足を運ぶのに値するかどうかを判断しましょう。
そして実際に病院を訪れた際にも、こういった点に注目してみてください。
ポイント
エージェントを通すことで、自分で待遇についてしつこく質問して、マイナスのイメージを持たれるのを避けることができます。
今回は以上です。この記事が、転職活動のお役に立てれば幸いです。
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