医局に入った後

医局人事について徹底解説~決まり方・異動手続き・つらくなったら~

2021年9月26日

医局人事について徹底解説

 

こんにちは、コアライ ミナトです。

医局員として生きていく上では、避けては通れない医局人事。これをうまく乗りこなせるかどうかで、QOLが大きく変わってきますよね。

今回はそんな医局人事について、広く網羅的に解説してみました。

・人事異動について知りたい研修医・専攻医・新人医局員
⇛概要、決まり方、メリット・デメリット

・人事異動とうまく付き合っていきたい医局員
⇛うまく付き合っていくポイント、引っ越しの手続き

・人事異動に疲れた医局員
⇛拒否できるか、つらくなったら

では、行きましょう!

 

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医局人事の概要

 

目的

医局人事の目的は、主に下記の2つです。

・関連病院に必要な人員を配置し、地域の医療を支える
・様々な環境を経験させることによって、医局員を教育、成長を目指す

専門的な知識や技術を持った医師を常に充実させておくことは簡単ではなく、それを安定的に供給できる医局の存在は、病院としてもありがたいことでしょう。

また一つの職場に長くいると偏りがちになる、症例や病院のシステム、人間関係といった点を、定期的な異動によって解消しています。

適度な異動は、医局員の能力の底上げに繋がっていると感じます。

 

時期

異動をする時期は、4月が多く、9月などの秋頃が続きまそれ以外の時期に異動がある医局もあります。

こういった定期の異動だけではなく、急な欠員や休職者が出た場合には臨時の異動もありえます。

人事を通達される時期は、異動する半年~数ヶ月前(4月異動であれば、秋~年末年始)と言う場合が多いです。

 

医師歴ごとの傾向

一般的には、異動は若手医師では多く、中堅~ベテランになるにつれて減ってきます。

若手であれば数年ごとに異動というのが基本になりますが、「半年~1年で転々としなくてはならない」というシビアな医局もあります。

大体30代後半~40代にかけてやや頻度が減り、40代以降は落ち着いて勤め上げるというのがモデルケースです。

ただ例外は多く、特例として若手でも全く異動のない医局員から、50代でも異動になる医局員まで様々です。

 

医局人事の決まり方

 

人事は、ある程度個々の医局員の希望を反映させながら、医局上層部の数人(教授+医局長+α)が決定していきます

文書や面談などで希望を聞く場合が多いです。「医局員の意見を全く聞くこともしない」という医局は、昨今珍しいのではないでしょうか。

 

ただ希望は「あくまでも参考程度まで」というイメージを持っておくといいと思います。医局の都合を曲げて、つまり関連病院のポストを手放してまで希望を反映させてもらえることはほぼないでしょう。

基本方針として「均等に負担をする」か「事情に配慮して負担に差をつけるか」は医局によって様々です。どちらの方針が良いかは、個々の属性によるでしょう。

上層部の数人の価値観で、長期にわたって人事が決まるため、一定の傾向がでてしまうことも多いです。

医局内部にある程度いると、「好き嫌い」という要素もそれなりに大きいと感じます。

 

うまく付き合っていくポイント

 

僕が感じた、医局人事とうまく付き合っていくポイントは下記の3つです。

・医局上層部や勤務希望病院の上司といい関係を築く
・そこに居続ける理由を作る
・人気病院を希望しない

人間が人間を動かすのが人事であり、どうしても感情面が大きく影響します。上の人といい関係を築く(努力をする)というのは、重要なことです。

面倒と感じることもあるでしょうが、組織に属す以上ある程度は仕方ないのでしょうね。

 

また「自分が」「そこの病院にいるからこそ」という成果を上げ続けると、そこに留まれる可能性が高くなります。

医局員の間で人気の病院を希望しないことも有効で、これによって長く安定して1つの環境に留まりやすくなります。

ここまでの内容をもっと詳しく読みたい方は、下の記事も参考にしてみてください。

 

医局人事の決まり方とうまく乗り切るポイント

 

左遷という事態もありえる

 

決して異動=左遷ではありません。多くの場合、異動は定期的にあるもので、悪感情やトラブルを含んだものではなさそうです。

ただ稀に「左遷」と感じざるを得ないような人事を、目の当たりにします。

同世代の医局員と比べて異動の頻度が高かったり、僻地に長くいたり、定年間近でスキルの活かしにくいポストに飛ばされたりといった事態です。

当然ながら「医局上層部のお気に入り」はこういった事態にはなりにくいです。左遷を避けるためにも、医局とはそれなりに良好な関係を築いておきたいものですね。

 

詳しくはこちら
左遷って本当にあるの
【医局人事】左遷って本当にあるの?その実態を元医局員が解説

 

引っ越しの手続き

 

異動が決まると、仕事関連から役所、プライベート関連まで様々な手続きや準備をしなくてはなりません。

異動直前の時期に人事を通達される医局に所属している場合は、途端に慌ただしくなります。

下記の記事では、転勤時(転居含む)に必要な手続き・準備を、一般的なものから医師ならではのものまでまとめています。

 

医師の転勤・引っ越し手続き
医師が転勤・引っ越しするときの手続きまとめ【チェックリスト】

 

医局人事にも良いことがある【メリット】

 

医局人事にもメリットはあります。主なものは下記のとおりです。

・診療経験を積める
・頼れる人が増える
・マネジメントを学べる
・人間関係で煮詰まりにくい
・いろいろな土地に住める
・人事ならば、転職時にネガティブに感じられにくい

少数の施設での勤務経験しか無いと、どうしても経験という面で不足してしまうのではないかと個人的には感じます。

症例や手技など診療に関わるものはもちろん、困ったときに頼れる人や目標にできる人との人脈も重要です。

人事異動ではなく転職によってこういった経験を積むことはできますが、人事であれば

・転職活動=自分で次のポストを探す必要がない
・自らの意思で病院を転々としている医師というイメージがつきにくい

というメリットがあります。

 

詳しくはこちら
医局人事で異動をするメリット6選【元医局員が解説】

 

医局人事のここがつらい【デメリット】

 

人事異動にはデメリットも多いです。実際、人事異動は「医局を辞める理由」として、常に上位に挙げられます

具体的には下記の通りです。

生活面

職場が変われば、生活に大きな影響があります。引っ越しを伴う異動であればなおさらです。

自分だけではなく、家族にも大きな変化をもたらします。子供の学校や塾、親の介護など考慮される医局も増えてはいますが、あくまでも目安程度です。

また「異動があるかもしれない」という状況自体が、人生設計に影響を与えます。

・縁もゆかりもない土地に行くことになるかもしれない
・給料が大幅に下がるかもしれない
・通勤時間や勤務時間が大幅に増えるかもしれない

こういった不確定要素があると、長期での人生設計がしにくくなります。

 

金銭面

医師が異動、転勤をする場合、金銭的な負担が他職種よりも大きくなりがちです。

医局の指示によって異動をするわけですが、医師は医局に雇われているわけではありません。あくまで病院に雇われているので、そこを一度「自主退職」することになります

これによってボーナスがカットになったり、有給休暇がリセットされたり、引越し費用や家を借りる費用が自己負担となったりします。

特にインパクトが大きいのが退職金です。短期間で転々とすると、もらえる退職金の総額はかなり減ってしまいますし、「自主退職」であれば更に大きな減額となります。

異動に伴う金銭的負担は大きいですし、理不尽であるとも感じます。

 

具体的な金額は?
医師が医局人事で失うお金は○万円!?試算をしてみた

「医局人事は自主退職か」という裁判もあったそうですよ。株式会社日本医事新報社 No.5021 (2020年07月18日発行) P.68

 

仕事面

職場が変わることで、当然ながら仕事にも影響がでます。引き継ぎや道具の移動といった手間はもちろん、信頼関係や構築したシステムもすべて最初から作り直しです。

これまで磨いてきた専門性が、次の職場でも使える保証はありません。

 

患者さんへの影響

 

医師の異動は当然ながら、患者さんにも影響があります。

実際調べてみると、

・担当医が次々とかわって不安
・主治医の転勤についていくか迷った

という声も多いようです。

長期に及ぶ治療が必要な方は、特にこのように感じるでしょうね。

ただし、そもそも医局人事によって医師の確保ができている病院もあります。患者さんにとって医局人事は、一長一短といったところでしょうか。

 

医局人事を拒否できるか

 

医師という職業については労働者派遣業務が禁止されており、医局も企業も医師を「派遣」することができません。

派遣ではなくあくまで紹介にとどまるため、医局員に異動を強制することはできないとされています(表向きは)

詳しくはこちら

 

ただ人事を拒否した段階で、医局から退局や除名をせまられる可能性はあります(低くはない)。医局側からすると「人事を拒否しても医局に残れるとなったら、誰も人事に従わなくなってしまう」という事情もあるのでしょう。

もし一度拒否できたとしても、中長期でみると、いずれ同じような人事に従わなければならない場合がほとんどです。

つまり実態としては、下記のとおり。

・医局人事を拒否することは、基本的にできない(できたらラッキー)
・実際は「人事に従う」か「医局を辞めて転職をする」の2択だと考えておいたほうが良い

 

詳しくはこちら
医局人事って拒否できる?
医局人事って拒否できる?状況ごとに解説

 

異動がつらくなったら

 

一度は話をしたほうが良い

「異動がつらくなってきた」と感じたら、一度は医局上層部と話をしたほうが良いと、個人的には思います。

「現状が続くと、なかなか厳しい」というニュアンスを伝える程度でも。

状況が改善する可能性もありますし、もし変化がなかったとしても、突然医局辞めるよりはお互いにとっていいはずです。

 

傾向は変わりにくい

ただ実際には、状況が劇的に改善する可能性は高くありません

医局が抱えている仕事や(関連)病院、医局員数といった状況が大きく変わることはほぼないでしょう。そして上層部の数人の価値観で人事が動いていくのも、同様です。

・今後も転々とさせられそう
・家庭の事情に配慮してもらえない
・左遷された(いずれ飛ばされるかも)

こういった「医局と自分の関係性や未来予想図」については、ある程度医局にいるとわかってくるはずです。

なかなか直視したくなかったりもしますが…

 

退局を検討するタイミングかも

こうして「医局人事がつらい」と感じ始めたならば、それは医局を離れるタイミングかもしれません

異動そのものも負担ですが、「いつどこに飛ばされるかわからない」という不安定さが、大きくQOLを下げますよね。

幸い「医局人事がつらい」というのは、焦って医局を辞めなければならない事情ではないはずです(健康問題などとは違って)。

少しずつ退局に向けて、舵を切っていくのがおすすめです。

 

少しずつ進めておきたい退局準備について、下の記事にまとめています。

 

 

まとめ

医局人事について、解説してきました。ポイントは下記の通り。

ポイント

  • 医局人事の目的は、地域医療の維持と医局員の教育
  • 医師歴によって頻度は大まかに決まっている、が例外が多い
  • 数人の価値観を元に人事が決まるので、気に入られておくことは重要
  • 経験や人脈という点が、メリット
  • 生活、金銭、仕事面の負担がデメリット
  • 実質、拒否することは難しい
  • つらいと感じたら、それを伝えつつ、少しずつ退局準備をするのがおすすめ

この記事が、うまく医局と付き合っていくための、参考になれば幸いです。

さて、今回は以上です。

 

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