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医局に入る前

出身大学以外の医局に入るのって、どうなの?【元医局員が解説】

2021年10月31日

 

仕事内容や生活上の都合で、出身大学以外の医局に入ろうかと考えています。ただ外から入っても大丈夫かなど、わからないことも多いです。

今回はこんな疑問についてです。

 

この記事を読むと分かること

  • 出身大学以外に入局する人の割合や実態
  • 医局の方針を、大まかに掴む方法
  • 入局前にチェックしておいたほうがいいこと
  • シーリングについて
  • 入局をする方法

 

この記事を書いている僕も、出身大学以外の医局に入り、修行期間を過ごしました。

最終的には医局は辞めたものの、特に出身大学がどうこうで不都合を感じたことはありませんでした

様々な大学出身者が入り混じって、仕事をしていました。

 

そんな経験を元に、今回は「縁のない医局に飛び込むこと」について解説していきます。

 

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入局先と出身大学の関係

 

早速、出身大学以外の医局に入る人の割合を、みていきましょう。

平成31年臨床研修修了者アンケートによると、全研修修了予定者のうち、

出身大学の医局に入る:47.4 %
出身大学以外の医局に入る:31.9 %
入局する予定はない:11.5 %
わからない・まだ決めていない:8.2 %
無回答:1.1 %

「医局に入る人」のうち、約6割が出身大学、約4割が出身大学以外という結果です。

 

出身大学以外への入局が、全く珍しくないことがわかりますね。
そもそも約8割が医局に入るというのも、イメージより多く、意外な結果です。

 

ちなみにこのアンケートは、研修が修了する3月に実施され、7918人の研修修了予定者のほとんど(86 %)が回答していることから、かなり信用できるデータだと思われます。

 

大学出身者以外は冷遇されるか

 

どちらの声もある

では本題の「出身大学によって、扱いが変わるかどうか」についてです。

これについては、「出身大学でないと冷遇される」という声と、「全く影響はない」という声の両方があります。

 

冷遇される

・遠方の病院を転々とさせられる
・大学で出世できない
・留学させてもらえない

こういった意見もあります。

 

全く関係ない

僕個人の感想、そして周囲への聞き取りをした結果としては、「出身大学はあまり関係ない」に一票です。

多くの医局は人手不足で、さらに他大学出身者が4割を占める現状では、それらの人を冷遇するような余裕はなさそうです。

また近年は「大学でどんどん出世したい、留学したい」という医師は、それほど多くありません。むしろ個々人の本当の希望に沿っていくと、大学ポストのほうが余ってしまうというのが現状ではないでしょうか。

それぞれの医師の能力や処世術、上層部からの心証のほうが、よほど強く影響します。

 

人気医局に注意

医局に入ったあとの出世や扱いについては上記のとおりですが、「そもそも医局に入れるかどうか」については注意が必要です。

医師の偏在は深刻で、科や地域によっては定員が絞られていることがあります。

 

具体的に言うと、医局の規模(大学のポストや関連病院数)に対してあまりにも入局希望者が多い人気医局では、独自に定員を設けているところもあります。

また新専門医制度における、シーリングにも要注意です。簡単に言うと、医師偏在を避けるため、

東京都の内科医専攻医の採用上限は〇〇人まで

というように専攻医の採用に制限をかける制度です。

 

こういった人気医局やシーリング対象の医局では、入局希望者を選別する必要があります。

このような場合には、「もともと交流があるか」という点も考慮されるようなので、出身大学でない人気医局に入りたいのであれば、

・初期研修病院として、入局希望の大学病院を選ぶ
・頻繁に足を運び、早いうちから意思表示をする

などの工夫が必要かもしれません。

 

医局の方針を確認する方法

とはいえ、出身大学は「関係ない場合もあるし、重視される場合もある」では解決になりませんよね。

ここからは医局の大まかな方針を、外から知る方法を解説します。

 

その方法とは、どんな経歴の医師が、どこに配置されているか確認することです。

人事には、その医局の方針が明確に反映されます。

 

大学での役職や関連病院、そしてそれぞれに配置されている医局員の一覧が、医局の壁には貼ってあります。ホームページでみられることも多いです。

医局見学やネットを利用し、人事の傾向を探ってみてください。出身大学だけでなく、男女や年齢などがどう影響するか、かなりのことが分かります。

 

ポイントは、「自分がどうなりたいか」をはっきりさせてから、確認することです。

・大学でどんどん出世したいのであれば、大学の重要ポストを占めている人の傾向をみる
・市中病院希望なら、都市と僻地の人員配置などの傾向をみる

といったところでしょうか。

大学勤務を希望しないのであれば、大学の重要ポストに偏りがあっても、特に問題はないので。

 

下記の記事では、これ以外にも医局に入る前に確認しておきたい項目をまとめています。

関連記事
医局の選び方を徹底解説 チェックしたいポイント10選

 

縁の薄い土地で修行するメリット

 

実際、出身地や出身大学以外の医局に入るメリットはあります。それは医局を辞めるときのハードルが低くなることです。

逆に、一生住み続けたい土地で医局に入り修行をした場合、かなり気を使って辞める必要があります。

医局によっては、お礼奉公なんかも…

 

「一生この医局で勤めたい」ということならば問題ありませんが、年齢とともに価値観が変わってきて、そうはいかないこともありますので。

 

出身大学でない医局に入る方法

 

決定する時期

入局の最終的な決定を伝えるのは、前年度の夏までというのが一般的です。

2年目の研修医が「決心しました」と言っているのは、4-7月が多い印象です。

 

ただこれは定員のない医局の場合で、人気医局やシーリングのある医局の場合は、さらに早く締め切られることが多いので注意が必要です。

入局審査があることも(おおよそ入局前年の春~夏頃)。

 

逆算して見学を

医局を決めるとき、初回の見学で「入ります、よろしくお願いします」というのは一般的ではありません。特に出身大学以外の医局で面識が少ない場合は、最低でも数回は足を運んでいろいろリサーチしておきたいものです。

数回見学をしてから、最終的に前年度の夏頃に最終決定の挨拶をというように逆算して行動するようにしてください。

見学の申し込み先は、医局のホームページに書いてあることがほとんどです。

 

まとめ

出身大学以外の医局に入ることについて、解説しました。

ポイント

  • 入局者全体の4割は、出身以外から
  • 出身大学によって、扱いに差はない印象
  • 人員配置をみれば、医局の方針が分かる
  • 縁の薄い土地での修業には、メリットも
  • 決定は、夏頃までに
  • 出身大学以外なら、数回は見学へ
  • 人気医局は、なるべく早くコンタクトを

さて、今回は以上です。

 

下の記事では、「医局に入ること全般」についてまとめています。

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