転職活動は進んでいますか?転職は一世一代の大勝負。失敗したくないですよね。
そういった方に向けて、転職候補病院でチェックしたい項目をこちらの記事でまとめました。
医師が転職で失敗しないために候補病院でチェックすべきポイント8選
その記事の中でも書きましたが、僕は病院の経営状況も重要な判断材料だと考え、確認することにしていました。
その一点でだけから決めたわけではありませんが、結果的に比較的経営の安定している病院に転職をすることにしました。
今回の記事では、勤務病院を決める際の「病院の経営状況の重要性」にフォーカスして、解説していきたいと思います。
ではどうぞ。
転職と医局人事は違うということ
現在医局に属していて、転職活動をしている方も多いのではないでしょうか。
医局にいれば、ある程度はポストが保証されています。万が一勤務先の病院がなくなってしまっても、代わりのポストが用意されます。
しかし医局を離れ、身一つで生きていくとなるとそうはいきません。病院がなくなった場合は自分で新たなポストを探さなければなりません。
大きな病院が無くなる場合は、多数の医師が一度にその地方の転職市場に流れ込むこととなり、良いポストを見つけることは更に難しくなるでしょう。
医局に属しているとき以上に、自らの病院の経営状況に敏感になる必要があります。
経営状況が悪化すると起こること
病院の統廃合
現在日本の病院の経営はどこも厳しく、コロナウィルス感染症の影響もあって更に売上が落ちています。
こうした中、病院の統廃合(閉院・吸収合併)というのはもはや珍しい話ではありません。そしてこれは個人病院や私立病院にとどまりません。
厚労省は、全国の公立病院の3分の1に「統廃合を含めた再編の検討を求める」という方針を発表しています。
・閉院
勤務している病院が潰れてしまったら、自分で新たな職場を探さなくてはなりません。
先程も書いたとおり、潰れるのが大きな病院であればあるほど、影響が大きくなります。
家の近くにいい職場がみつかるとは限らず、生活の拠点を変えなければならない可能性が出てきます。
また退職金にも、大きな影響があります。
続いて下の表は、りそな年金研究所が公表している「大企業のモデル退職金」いうデータをもとに、作成したものです。
3年 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 | 25年 | 30年 | 35年 | 定年 | |
会社都合 | 68.7 | 123.8 | 312.8 | 588.4 | 965.9 | 1426.9 | 2012.9 | 2455.2 | 2511.1 |
自己都合 | 32.8 | 63.4 | 186.1 | 407.6 | 801.8 | 1287 | 1898.3 | 2368.3 |
(単位:万円)
退職金は一般的に、1つの職場の勤続年数が長くなればなるほど、もらえる額が大きくなります。
退職金という点からも、安定した病院で長く勤めたいものです。
・吸収合併
自分の職場が他の病院に吸収される場合も、閉院ほどではないにせよ影響はあります。
雇用条件は、吸収した側のものになる場合が多いです。これによって雇用条件が悪化する可能性があります。
金銭以外にも病院の場所が変わる、仕事のやり方が変わるといったデメリットがあります。
病院がなくなるまで行かなくても
統廃合によってなくなるというレベルまで行かずとも、経営状況は給料に影響します。
病院の経営が大きく落ち込むと、まずはボーナスが減額になります。
また医師の給与明細には「業績給」「調整給」あるいは「〇〇手当」といった項目が、多くみられるのではないでしょうか。こういった項目は、基本給より引き下げられやすいということがあるようです。
残業と病院経営の関係
病院の経営会議では、必ずと言っていいほど残業(残業代)が話題になります。それも重要な項目として、です。
病院経営で人件費の占める割合は高く、経営という面からも残業代をどれだけ削るかということは重要な課題となっています。
仕事量が多いと残業が増えるのは確かです。しかしいろいろな病院で働いてみて、「残業時間は、必ずしも仕事量に比例しない」とも感じています。
時間外に仕事やカンファレンスをするという文化が、根付いてしまっている病院は少なくありません。
患者さんを救うためという名目がある以上、医師の残業を削るのは難しいです。
そういった事情を背景に、残業も収入源と考えて仕事をしている医師はそれなりの数いるでしょう。
こういった文化を変えることは難しく、長時間の残業が常態化している病院は、
・病院経営の改善が難しい
・個人としても周囲に合わさざるを得ず、残業が長くなりがち
ということになります。
多少の不便は受け入れる姿勢も必要
コスト意識が強い病院は、設備が充実していない(新しくない)場合も多いです。常に最新、便利なものを揃えていくには多額の費用がかかるからです。
僕も医局人事で病院を転々としていた頃は、こういった不便に対して不満を持っていました。
「長く勤めるわけでないから、その日その日で便利に仕事できればそれでいい」と考えていたのかも知れません。
しかし退局/転職をし、長く勤めていきたい病院に就職すると、「多少の不便があっても、病院の経営が安定するならばいいか」と考えるようになりました。
ポイント
転職活動中の方は、「設備の充実」と「経営状況」のバランスで、病院を判断すると良いのではないでしょうか。
まとめ
医局を離れ身一つで転職をする場合は、病院の経営状況が大切ということを解説しました。
・病院の経営状況が悪いと
①統廃合
②なくなるまで行かずとも、雇用条件が悪化
・長時間の残業が常態化している病院は
①経営改善が難しい
②個人としても残業が長くなりがち
・多少の不便は受け入れる姿勢も必要
苦労して転職活動をする以上、長く平穏に過ごせる病院に勤めたいと考える方が多いはずです。
そういった方は、少なくとも候補の病院が赤字か黒字か、赤字の場合は改善への具体的な目処が立っているかは聞いておくことをお勧めします。
自分で聞きにくければ、エージェントさんを通すのもいいでしょう。
他の条件が良くても、長期に渡って巨額の赤字を計上している病院は、要注意です。
今回は以上です。この記事が、転職活動のお役に立てば幸いです。
おすすめの転職エージェント
▼これらをおすすめする根拠はこちら▼
おすすめ医師転職エージェントはここ!各社への取材を元に徹底比較【根拠あり】
▼エージェント登録の方法など、転職活動の全行程はこちら▼
医師転職の流れを完全解説~エージェント登録から入職まで~
・面接は〇〇を通して申し込むのがおすすめ
・内定を保持しておけるのは、約○日間
・〇〇の時期は、気分が落ち込みやすいので心の準備を
など、重要ポイントも多数解説しています。