こんにちは、コアライ ミナトです。自身の経験を元に、医師の転職や医局についてのブログを書いています。
今回は、医師転職エージェントの【医師転職ドットコム】に取材をさせていただきました。
医師転職ドットコムは、1996年創業の老舗の医師転職エージェントで、常勤求人20000件以上、非常勤求人14000件以上(+非公開求人)を有する超大手でもあります。
「どんな人がコンサルタントをしているの?」などサービスについてはもちろんのこと、「何科が転職しやすいの?」など転職の疑問を、ここぞとばかりにぶつけてみました。
では、いきましょう!
医師転職ドットコムについて
利用者数
Q. どのくらいの医師が、実際に「医師転職ドットコム」を利用されているのでしょうか?
A. 累計登録者につきましては、現在5万人以上となっております。(2021年8月末現在)
求人数
Q. 「医師転職ドットコム」は、保有している求人数が多いというイメージがあります。どうやってそれだけの数を探されているのでしょうか?
A. 医師転職ドットコムでは、これまでの医師紹介実績や、25年間の病院運営支援を通して長期にわたり、全国各地の医療機関との信頼関係構築に努めてまいりました。
信頼構築の一環として医療機関へヒアリングを行うことに力を注いでおり、公開されている求人情報だけでは分からないような医療機関側の潜在ニーズを探ることで、web上には公開されないような非公開求人をいただくこともございます。
コメント
僕が転職活動をしていたとき、
という、他社にはない「先々の穴場情報」までいただいた記憶があります。あれは、こういった事情からだったのですね。
強み
Q. 「医師転職ドットコム」の、他にはない強みを教えて下さい。
A. (他の紹介会社の体制について存じ上げているわけではありませんが)医師転職ドットコムの大きな特徴の一つとしては、求職者である医師を担当されるコンサルタントが、並行して医師の採用を考えている医療機関担当ともコンタクトを取っており、どちらの事情にも精通している可能性が高い、という点が挙げられます。
それぞれの担当が別々である場合と比べ、
・求人紹介や求職者紹介がスムーズになる
・双方にとって必要な情報をキャッチアップし、一番知りたい情報をお伝えすることができる
と考えております。
コメント
コンサルタントを通して「その病院の雰囲気」まで感じられたら、それはメリットになりますね。
コンサルタント
Q. 医師転職ドットコムのコンサルタントさんは、どんな方がされているのでしょうか。
A. 医師転職ドットコムでは全国の拠点合わせ、約80人のコンサルタントが在籍しております。
コンサルタントとしての経験年数としては、こちらもおおよその割合とはなりますが、「5年未満:5年以上10年未満:10年以上=2:5:3」の構成となっております。
またコンサルタントの質の向上のための一環として、「医療経営士」や「キャリアコンサルタント」の取得を奨励しており、実際に資格を取得しているコンサルタントも多数おります。
コメント
これはめちゃくちゃ強調したい内容なのですが、転職を成功させるうえで、
・コンサルタントさんの質(候補の提示方法や相談の乗り方)
・医師との相性
って本当に重要です(転職活動中に痛感しました)。経験年数や、(全員取得というわけではないとしても)資格については、重視していいポイントだと思います。
評判・口コミ
皮膚科 女性医師 30代
大学を出て初めての転職だったため、新しい勤務先で上手くやれるのか不安だったりして、最終的な決断をするまでにかなり迷いました。内定承諾の返事がなかなかできない私に、コンサルタントの方は、せかすどころか、2つの病院の比較表を作ってくれたり、電話で話を聞いてくれたり、ご自身の転職の話をしてくれたり、親身に相談にのってくれました。
医師転職ドットコム「医師転職体験談」より
対応エリア
Q. 特に力を入れている地域など、ありますでしょうか?
A. 医師転職ドットコムは、札幌本社をはじめ、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡といった各エリア主要地に拠点を構え、地域を問わず47都道府県全エリアでの転職支援を実践しております。
そのため、特に力を入れている地域というよりは、地域ごとの特性に合わせ、医師の方お一人おひとりの需要に沿ったサポートを行っております。
コメント
「都会の病院は~、地方の病院は~」と一括り(二括り?)にしたイメージで語られがちですが、同じくらいの人口の土地でも、事情は本当に様々です。進路を決める上で、そういったローカルな情報は参考になると思います。
ちなみに多数の拠点を維持して行くのは、コストもかなりかかるはず。それだけの実績があがっているということでしょうか。
評判・口コミ
神経内科 男性医師 30代
中国地方の大学を卒業後、そのまま大学の医局に入局し、神経内科医として勤務経験。故郷が大阪府なので、将来は地元大阪で開業したいと考えていました。
(中略)
遠方にもかかわらず、すぐに近くまでコンサルタントの方が来てくれ、打ち合わせをしてもらえ、大変助かりました。その際も、すでに求人案件の用意があり、それぞれの医療機関の症例や患者層から学閥や人間関係についてまで、びっくりするほど詳細な説明をしてくれ、この方なら大丈夫という安心しました。インターネットだけではわからない大事なことはたくさんあるのだなと、関心しました。
医師転職ドットコム「医師転職体験談」より
40代50代60代の…
Q. 通常の「医師転職ドットコム」とは別に、【40代50代60代の医師転職ドットコム】を展開させておられるようですね。この2つで違いがあるのですか?
A. サービス内容に違いはございません。
ただ「医師転職ドットコム」では、はじめての転職をされる比較的若年層の方向けのPRをしている一方で、「40代50代60代の医師転職ドットコム」では、医師のセカンドキャリアやサードキャリア(役職のつく勤務を望まれる方、管理医師として働きたい方等)を支えるPRをしております。
年齢ごとで医師の方々が転職に求めるものは変わってくるため、年齢ごとの要望に詳細に応えられるよう、あえてPR内容に違いを出しております。
コメント
40歳以降の方でも、通常の「医師転職ドットコム」でも構わないとのことです。
確かに40代になってヒラというわけにもいきませんし、家庭や健康上の都合から希望するポストも変わってきそうです。病院側からの需要も、変化してくるのでしょう。
評判・口コミ
循環器科 男性医師 60代
今まで大学の人事で病院をいろいろ回ってきました。人材紹介を使うのは今回が初めてで、半信半疑でもあり、半ば気軽な気持ちで問い合わせをしたのですが、大学に関係なく勤務先を探すことができました。教授、知人の紹介で勤務していたら、いまだに大学などのしがらみから逃げることはできなかったと思います。
当然、大学とぱったりと縁が切れたわけではなく、仲の良い同僚とは今でもたまにあってお酒を飲んでいます。何よりも今の生活が充実していることに幸せを感じています。
医師転職ドットコム「医師転職体験談」より
キャリア相談
Q. 医師転職ドットコムでは、転職を決心した場合だけではなく、中長期的な目線でみた「キャリア相談」も可能ですか?
A. もちろん可能です。
経験豊富なコンサルタントが多いので、
・最近のトレンド
・評価されやすいキャリアのご提案
・病院で働く場合・開業する場合など、将来の希望に沿ったご提案
をさせていただきます。
コメント
医師ではまだまだ少数だと思いますが、サラリーマンの世界では「もっとこんなスキルや資格を持てば、キャリアアップできる・希望する待遇を得やすい」というアドバイスを転職エージェントからもらい、そこから逆算してキャリアを設計していくという人も多いそうです。
少なくとも関りを持っておくことで転職のハードルが下がり、「あんなに思いつめることもなかったのかな」と思います。
利用できる医師歴
Q. 医師歴何年目から、キャリア相談などを利用させていただけますか?
A. 色々な相談のケースがあります。
・専門医取得した後のキャリア相談
・専門医取得を目指したい、専攻医希望の相談
・専攻医から転科希望の相談
があり、いずれも対応可能です(初期研修医・専攻医の利用も可能)。
コメント
転職活動期間中に気付いたのですが、歴史のある転職エージェントは様々な情報(裏事情)を持っているので、進路を決める参考になるかもしれません。
医師転職ドットコムの利用方法
まずは、ホームページから登録します。
その後の流れは、下記の通り。
利用は全て無料です。
医師転職の疑問あれこれ
専門医資格の価値
Q. 専門医資格の有無は、常勤医の転職において、どのくらい影響するでしょうか?
A. 専門医があると強い診療科(内科系・外科系・産婦人科・麻酔科)もあれば、在宅・産業医など資格や経験不問で相談できる先もあり、診療科により様々となっております。
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専門医資格は取得を目指す人が多い一方で、取得や維持にかかるコストも大きく、「どうしたものか」と悩むこともあるのではないでしょうか。
・資格があったほうが、転職に有利な分野もある
・資格がなくても、転職自体は可能
これはどちらも事実のようです。迷ったときには「資格がある場合・ない場合の求人の差」を確認してみると、根拠のある決断ができるのではないでしょうか。
感染拡大の影響
Q. 感染拡大によって、医師の転職市場にどんな影響があったのでしょうか?
A. 常勤に関しては大きな変化はありませんでしたが、非常勤については求人数が減少していたように思われます。
なお、待遇については大きな変化はなかった印象です。
また、在宅業務などの需要が高まる一方で、麻酔科や小児科、耳鼻科などの需要は下がる傾向が見られました。
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やはり「非常勤ポストは不安定」というのは、ある程度は事実なのでしょう。また科ごとにみても、思わぬところに影響があったようですね。
転職しやすい科
Q. 求人数が多い科と少ない科があると思うのですが、何科医が転職しやすいでしょうか?
A. 医療機関からの需要が多いという科でお答えさせていただくと、内科、消化器内科、精神科などが多い印象です。
コメント
進路を決めるときに考慮したい要素はいくつもありますが、
・体調を崩してしまった
・待遇が急激に悪化した
・パワハラなど、人間関係がきつくなった
こんなときに「職場を変えやすい・複数から選べる」というのも、QOLを決める要素の1つだと思います(しみじみ)。
転職失敗
Q. どのくらいの転職回数から、マイナスのイメージを持たれるのでしょうか?
A. 回数の目安で言うと3回以上は、医療機関に相談の際は退職に至った事情説明を併せて行うことを意識しております。(ライフイベント・家庭事情・キャリアアップ・勤務先の体制の問題など、事情をお伺いした上でお伝えする方法は相談しております)
また、勤務期間が短期間(1年未満)というケースや、2~3年スパンで転職が続いているケースも、医療機関は気にされることが多いです。
※医局人事での異動期間は短期間・回数が多くても問題ございません。
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こういった基準には引っ掛からないように、気を付けたいものです。
ただ転職を前にすると「うまくなじめなくて、職場を転々とすることになったらどうしよう」と不安になる気持ちも、よくわかります。
この回答を参考にすると、「少なくとも、5年くらいはここで働けそう」というのが、転職に踏み切る1つの判断基準になるのではないかと、個人的には感じています。
転科
Q. 新専門医制度の開始によって、【転科】を取り巻く事情も変わったのではないかと思うのですが、ここ3年程度で何か感じますか?
A. 診療科にもよりますが専門医取得希望の相談は、ごく一部の基幹病院を除く市中病院では難しくなり、「専門医取得を目指す転科」、「医局所属せず専門医取得を目指す」相談は以前より減少しております。
なお、影響の少ない診療科としては、下記3科目を挙げさせていただきます。
・精神科(指定医は専攻医プログラム必要なし)
・在宅(初期研修での内科経験+大病院ではない市中病院・CLで取得可能)
・美容(入職時点で専門医資格を求められることは少なく未経験から相談可能)
コメント
やはり転科のハードルは、上がってしまったんでしょうかね...転科を経て自分に合った働き方を手に入れた医師も、たくさんみてきたのですが。
トレンド
Q. その他、ここ数年の医師転職市場のトレンドなどはありますか?
A. 転職を見据え、早めに情報収集を開始される先生が増えた印象です。
また専門医資格にはこだわらず、医師歴が浅くても将来を見据え、転職をされる先生が増えたように思われます。(在宅・美容・健診・産業医など)
コメント
転職が身近になったことで、「我慢して我慢して、現状に耐えられなくなったら転職する」というものではなく、「現状と転職先を横並びで比較して、自分が心地良いほうを計画的に選ぶ」というものに変わりつつあるようです。
またそれぞれの進路のメリット・デメリットが明確化したことで、多数派とは違ったとしても、自分に合った決断をしやすくなったのは良いことだと感じます。
まとめ
医師転職ドットコムにいろいろな質問をしてみましたが、いかがだったでしょうか。
取材をしてみて感じた【医師転職ドットコムの強み】は、下の2点です。
・地域や病院との関わりが強く、ご当地の情報を持っている
・長期間の積み重ねによって、数値化しにくい抽象的な質問にも、根拠をもって答えてくれる
さて今回は以上です。この記事が、将来を考える参考になりましたら幸いです。
・転職を考えている方
・医師転職ドットコムに興味を持たれた方
・その他、記事内容に関するご質問など
は、こちらからどうぞ。