医局に入った後

人が去る医局の問題点とは。鍵は「30 %」という数字

2021年8月19日

人が去る医局の問題点

 

うちの医局は最近どんどん人が減って、仕事がきつくなってきました。人がたくさんいる医局もあるなかで、うちはどうしてこうなのでしょう。

今回はこんな疑問に答えます。

この記事を書いている僕は、元医局員で、退局/転職を経験しました。僕がもともといた医局も似たような状況で、みんな苦労をしているようでした。

こんな経験を活かして、人が残る医局と去る医局の違いについて、考察していきたいと思います。

鍵は30%という数字で、答えは意外とシンプルです。

 

 

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医局が厳しいのは30代以降が抜けるから

 

若手の確保はできている

研修医アンケートによると、若手の入局率は80 %程度で、下記の通りキープできています(むしろ微増傾向)。ほぼ100 %入局していた時代ほどではありませんが、全体としては高止まりと言えるでしょう。

73.7 % (H27)、74.2 % (H28)、76.8 % (H29)、77.9 % (H30)、79.3 %(H31)

引用元:平成31年臨床研修修了者アンケート調査結果

 

さらに独自の取り組みや、科そのものの人気から、超人気医局も出てきているようです。

もちろん医局によって若手人気に差はありますが、単に若手が入らないこと「だけ」では、医局運営はそこまで傾きません

本当にしんどいのは、主戦力の世代が抜けたときです。

 

30代以降を引き止められない

医局の状況が苦しいとき、多くの場合、その本質は30代以降の医師が立て続けに辞めていくことにあります

こういった「医局外でも生きていける医師」が抜けていったとき、医局が衰退/崩壊します。

 

医局制度のおさらい

 

ここで一旦、医局のシステムを整理しましょう。

医局について、僕はこのように捉えています。

医局がポストを専有し、そこで働けるかわりに、医局のために負担もしてもらうというシステムです。例えば下記のように。

・大学病院の経営を支える(医師にとって厳しい労働条件)
・大学での教育を行う
・関連病院間の人事異動によって、関連病院の経営と地域の医療を支える
・研究で成果を出す(※)
・学会や勉強会の準備をする
・事情のある一部の人を支える
(※研究に関しては、やりたい人がいるのは事実ですが、そうでない人からの支援もないと成立しないでしょう)

こういう言い方をすると、医局=悪みたいですが、必ずしもそうではありません。

うまくいっている医局があるのも事実ですし、医療以外の世界にも似たような仕組みがあります。

 

結論:負担を30 %以内に抑えられるかどうかが鍵

 

ここで結論です。30代以降の医師が抜けないようにするには、医局外と比べたときの負担を30 %以内にすることです。

 

30 %の根拠

以前、芸能人が相次いで芸能事務所を辞めたとき、堀江貴文さんがYoutubeでこんなことを言っていました。引用させていただきます。

大体ですね、マネジメントがとるフィーの上限を僕は30 %程度だと思ってます。AppleとかGoogleがアプリからとるお金と同じです。30 %以上とると、属人的な仕事というのは、独立意欲が高まるという現象があります。例えばマッサージ師なんかは特にそうなんですけど、お客さんがマッサージ師の腕の巧拙、その人がうまいということでその人のところに指名をしているという現象がありますので、30 %以上とると独立したいって思うらしいですね。とある繁盛している70店舗80店舗やってるマッサージ屋の社長に聞いたんですけども、「うちは30 %しかとってないんで、独立しないんですよ。」つまり「30 %手数料払った方が楽だよね」っていう風に、30 %だったらギリギリ思う。・・・(中略)・・・伝統的な芸能事務所のギャラの配分で言うと、30 %を超えると僕はこれから厳しくなってくるんじゃないかと思います。

引用元:https://www.youtube.com/watch?v=BHHlL1PP5II

ポイントをまとめると、下記のとおり

・いろいろな業界で、市場を占領しマネジメントをするかわりに負担をさせるという仕組みはある(悪いことではない)。
・負担を30 %までに抑えれば、人は現状維持する傾向にある。
・30 %以上取ってしまうと、外で生きていける人から出ていく傾向にある。

堀江さんの発言は納得できる時とできない時がありますが、これに関しては自分の感覚と合うものでした。

環境を変えるのは面倒ですしリスクもあるので、多少のしがらみならば、現状維持したいと思う人も多いのではないでしょうか。

 

医局外と比較して、30 %以内に

 

医師の話に戻ると、

医局を辞めた場合と比べて、現状が30 %以上損していたら辞める、そうでなければ現状維持をする傾向にある

ということです。

具体的にいうと、

・年収、労働時間、(時給)
・医局費、同門会費、寄付金
・異動の金銭的、物理的、精神的負担
・希望とは違う仕事をすること(雑用を含む)

こういった有形、無形の負担を合算して30 %以内に抑えられるかが、人が残るか去るかのラインです。

まず時給で30 %以上で損していたら、それでアウトです。

ちなみに、異動で損をする金額だけでもかなりのものです。

▼詳しくはこちら▼
医師が医局人事で失うお金は○万円!?試算をしてみた

 

やりがいは加点にならない

「うちにはやりがいがある、優れた教育システムがある」という医局もあるでしょう。でも「やりがいがあるから、負担が大きくてもOK」とはなりません。

負担:40 %
やりがい:10 %

これでセーフとはならないということです。

その根拠として、先程の堀江さんの話でいうと、

・芸能事務所に残れば、テレビに出続けられる
・GoogleやAppleに従えば、Google playやApp storeに残れる
・大手マッサージ店に従えば、大手のチェーンで働ける

これだけの価値を提供しても、結局30 %までしかとれないのです。一医局が、googleやappleを超える価値提供をするのは難しいでしょう。

やりがいや価値提供で、若手は呼び込めるかもしれません。ただ生活も重視する30代以降をつなぎとめるには、それだけでは不十分です。

 

負担が30 %を超える医局の末路

 

30 %以上の負担があったとしても、全員が去るわけではなく残る人はいます。例えばこんな人。

・医局の仕事に、特別なやりがいを見出す人
・離れられない事情がある人
・それでも得をしつづけられる人

ただ去る人が後を立たず、

辞める→負担が増える→また辞める

というループに入っていきます。

 

人が残るための策

 

規模を縮小する/成果を下げる

30代以降の医師の流出を止めるためには、規模を縮小し成果を下げるしかありません。例えばこのように。

・大学や地域医療への貢献を減らす。
・研究の規模を縮小する。
・特別待遇だった人への方針を変更する。

 

間違った策

細かいところをいじっても足りない

・業務外でカンファレンスをしない。
・業務を整理してスムーズに。
・個々の事情に合わせて柔軟に。

こういった方針を打ち出す医局もあります。もちろん重要なことではありますが、細かいところをどれだけいじっても足りず、根本的な解決にはなりにくいです。

 

しっかり規模縮小しない

最も間違った方針は、人が減っても規模を減らさず、医局員の努力で乗り切ろうとする医局です。

次に間違っているのは、「医局員が2割減ったら、規模も2割縮小するような医局」です。これまでの負担が過重だったから人が減るのに、それを軽減しなければ状況はかわりません。

実際は、なかなかできないのですが…しがらみが多いところは、改革も難しいでしょう。

 

今いる医局が人手不足ならば

 

さて現在、人手不足でつらいと感じている人に質問です。

医局外で働いたときと比べて、負担が30 %以内に収まっていそうですか?(やりがいは考慮せずに、です)

ご自身の医局外の市場価格を知り、それよりも30 %以上労働条件が悪ければ、それだけで辞める理由になります。これは医師以外も含めて、多くの人に受け入れられるごく自然な感覚です。

そして改善策として医局がしっかりと規模縮小をしていかない限り、誰かが辞めていき、負担はさらに大きくなっていきます。

 

まとめ

人が残る医局、去る医局を分ける線引きについて、解説しました。

ポイント

  • 医局が人手不足なのは、30 代以降を引き止められないから
  • 医局外と比べて30 %以上待遇が悪いと、人が減っていく
  • 30 %を超えれば、それだけで医局を辞める理由になる
  • 医局が規模縮小しない限り、状況は改善しない

僕自身、この30 %という数字が非常にしっくりきたのですが、いかがでしょうか。

さて、今回は以上です。この記事が将来を考えるきっかけになれば幸いです。

 

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