こんな疑問に答えます。
今回は「教授の退官に合わせて医局を辞めること」というテーマです。
この記事を書いている僕は、元医局員で、退局、転職を経て現在に至ります。
自分以外の退局経験者と話をしたり、退局を考えている人から相談を受けたりするなかで、上のような言葉を何度か耳にしました。
ただ実際に退局を経験した身としては、どちらかというとおすすめできない戦略だと感じてしまいます。
その理由を解説していきます。
退官前後の医局の状況
まず退官前後の医局の状況については、大まかに下記のとおりです。
退官前
教授退官の数年前から、医局の雰囲気が慌ただしくなってきます。
具体的な変化として、退官の花道としての学会主催など行事が多くなり、その準備に追われ始めます。
また医局員も次を見据えて行動し始め、人の出入りが多くなります。
退官後
退官後、新たな教授が誕生したときも大きな変化があります。
残念な話ではありますが、直接「医局から出るように」と伝えられるスタッフや、実質的な左遷をされるということは、未だによくあることです。
そうでなくても医局の運営方針が変わることは避けられず、医局に居づらくなって(これまで優遇されていた人など)、自分から出ていく人もいます。
デメリット①:忙しい期間である
退官の前は、日常業務以外の仕事が多く舞い込み、個人としても仕事量が増えます。
「仕事量が多い」「雑用が多い」という理由で医局を辞めたい方も、多いのではないでしょうか。
この期間には、まさにその「雑用」が多く降り掛かってきます。学会や教授退官の記念式典、あるいは業務の引き継ぎなどです。
忙しい上に記念行事のための寄付金や会費も必要になり、心が荒む時期でもあります。
すでに辞めたいと心に決めているのであれば、わざわざこの時期に突入する必要はないと思うのです。
デメリット②:ピッタリのタイミングでは辞めにくい
「教授とぴったり同時に辞めて、後腐れなし」というのは、難しいのが現実です。
記念行事の担当やその後の引き継ぎなどは、退官ギリギリ、あるいはその後に至るような仕事になります。
ポストにもよりますが、末端の医局員であっても、何らかの仕事を担当することになります。
それでもなおこのタイミングで辞めるとなると、「自分は辞めるのでそれは担当できない」と伝えなくてはなりません。こうなってしまうと、本来配慮していたはずの現教授の心証にも関わってきます。
デメリット③:退局者が増えやすいタイミングである
教授退官前後の数年間は、そもそも退局者が出やすいタイミングです。複数の医局の話を聞きましたが、どうもその傾向にあるようです。
意外かもしれませんが、「退官前から」医局員が減っていきます。理由は下記の3つです。
・診療以外の雑用が増えやすい
・医局運営が短期的な視点になりがち(強権的)
・長年の不満がたまっている
ただでさえ忙しい時期に人が減ると、負担が増え、さらに人が減りというループに入っていきます。
教授退官後も当然、辞める人は多くなりがちです。主な理由は3つです。
・教授が辞めさせる/左遷する
・方針が代わり、これまで優遇されていた人がされなくなる
・雰囲気が変わり、合わなくなる
転職先が競合するかも
科や地域、辞める医局員の人数にもよりますが、多数の医局員が一度に辞めると、転職先が競合する可能性があります。こうなってしまうと大変です。
確かに「どこかには仕事はある」のですが、
・現在の居住地の近く
・給料がそれなりに良い
・やりがいがある
・長く勤められそう
などの条件を満たしてくれるポストは、いくらでもはありません。
デメリット④:残る人への影響が大きい
もし現教授への影響は少なくできたとしても、医局に残る人からは、忙しい時期に辞めた人という印象を持たれてしまいます。
医局に残る人は、これからその地域でバリバリ仕事をしていく人です。そういった人の心証を悪くするのもできれば避けたいものです。
デメリット⑤:転職が先延ばしになってしまう
転職は、どうしても気が重いイベントです。「次の教授が自分に合うか確認する」などと理由をつけて、先延ばしにしてしまいがちです。
そのうちに医局でのポストが上がり、家族が地域に馴染んでしまい…と辞めにくくなっていきます。
退官のタイミングに、たまたま自分に合う求人がないかもしれません。
ポイント
あくまで、自分のタイミングで行動することをおすすめします。
転職活動を始めてしまうのがおすすめ
・医局を辞めるという決意をした
・気持ちが固まりかけている
ということならば、医局の状況に関係なく、転職活動を始めるのがおすすめです。
医師の転職活動にかかる期間は、3ヶ月程度が目安と言われていて、それほど長いものではありません。
ただ転職活動を経験してみて、早く始めるメリットを感じたのも事実です。主なメリットは下記の2つです。
・自分や家族の希望を明確化する時間がとれる
・自分に合ったエージェントを探せる
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まとめ
教授の退官に合わせて医局を辞めるということについて、解説してきました。
デメリット
- 忙しい期間である
- 退官のタイミングぴったりには辞めにくい
- 退局者が増えやすいタイミングである
- 残る人への影響が大きい
- 転職が先延ばしになってしまう
デメリットも多く、「イメージするほどスムーズに話が進まない」というのがこの記事の結論です。
繰り返しになりますが、ポイントは「あくまでも自分のタイミングで」です。
さて、今回は以上です。
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