今回のテーマは「途中入局」です。
この記事を書いている僕は、医局員として約8年過ごし、その後退局、転職を経て現在は医局外にいます。
僕は初期研修修了直後に入局しましたが、医局員時代には途中入局者と接する機会が多くありました。
また僕自身の転職活動中にも、「途中入局」という求人にも多く出会いました。
これらの経験を元に、途中入局について解説していきます。
そもそも医局制度には賛否がありますが、制度そのものが自身に合っているのであれば、「途中入局はあり」な選択肢だと考えています。
では、いきましょう。
この記事を読むと分かること
- 途中入局とはどんなものか
- 医局を取り巻く事情
- 「途中入局はあり」な理由
- 途中入局の方法
パターンは2つ
この記事では途中入局を、「初期研修修了時から、時間をおいて入局をすること」とします。
途中入局は、大きく分けると下記の2つのパターンに分けられます。
・転科を伴う入局
・科を変えることなく入局
別の言い方をすると、
・医局で一からその分野について修業をする
・ある程度技術を持った上で、ポスト(大学、関連病院)を得るために医局に入る
という2つです。ここからは、それぞれについてみていきましょう。
転科に伴い入局する
新専門医制度
まずは転科に伴って入局することについて、解説していきます。
この場合は、改めて専門医資格取得を目指すことになるので、新専門医制度にのる必要があります。
新専門医制度では基幹病院を中心としたプログラムに入り、3年(以上)の研修を済ませ、専門医試験を受けるという流れになっています。
プログラムに入るには、日本専門医機構のHPから専攻医登録、研修プログラム選択、面接を経て合否が決まるという手順を踏む必要があります。
※執筆している現在(2021年)、新専門医制度はまだまだ流動的である印象です。最新情報を確認するようにしてください。
転科に伴う入局はあり
転科に伴って入局するのは、「あり」な選択だと思います。
・昔から、若手を0から育成してきた実績がある
・経験の浅い医師にも、状況に見合ったポストを用意できる
という点で医局は転科との親和性があり、新専門医制度以前から、転科のタイミングで医局に入り直すという医師が多くみられました。
科を変えずに入局をする医師の事情
専門の科を変えることなく、入局をする医師もいます。そういった医師の主な事情は下記の通りです。
地元に帰る
いわゆるUターン転職です。出身大学県や都会で修行をし、一段落ついたタイミングで地元に帰るという事情です。
医局を辞めて
それまでの医局が合わなくなったなどの事情です。科や専門分野によっては、小規模の病院では働きにくく、中~大規模の病院で働くために医局に入るという選択をする場合がこれに当たります。
ヘッドハント/栄転
研究や臨床で実績がある場合は、医局や医局の関連病院からヘッドハントされて、入局する場合もあります。
科の変更のない途中入局も「あり」
医局の現状
・そもそも医局に入らないという選択肢もできた
・転職エージェントなどによって、医局外の仕事へのアクセスがしやすくなった
・結果、医局の拘束力が弱まってきた
という要因から、昔からの勢力圏を維持していくだけの人員を確保することが難しい医局もでてきています。
また時代の変化とともに、「個々の事情にあわせて」という柔軟な対応をする医局も増えています。
こういった事情から
・形だけの入局
・ある程度の希望に沿う病院での勤務
・異動はなし
などの条件を出し、即戦力の途中入局者を取り入れようとしているようです。
このような条件ではいった途中入局者を、医局員時代には自科を含めて何人もみかけましたし、転職活動中にも「形だけ入局」という求人はみられました。
大学でどんどん出世しようとしたり、大規模で最先端の病院のポストを手にしようとすると、すぐには難しいかもしれません。
ただ関連病院で働きたいだけであれば、一から医局に育ててもらった生え抜きの医局員よりも、丁寧に扱われているように感じます。
転職時の候補の一つにも
先程も書いたとおり、「形だけの入局」という条件で、エージェントに求人を出している医局の関連病院もあります。
こういった病院も候補に加えることで、転職活動における選択肢が増えます。
途中入局のやり方
直接医局と話す
まずは、医局と直接話しをするパターンです。
教授にメールを送る(メールの文例も載せておきます)、学会などで話しかける、知り合いの医局員がいればその人を通すといったパターンがあります。
実際に会うことになり、希望に沿う条件が提示されれば入局ということになります。
・どの病院のポストに就けるのか
・異動はどの程度ありそうか
などを話し合ってみて「希望と大きく離れていれば、入局を考え直す」という選択もとれるのが途中入局組のいい点です。
ただしこのパターンの場合は、口約束で話が進んでいくことになります。
仮にその場では異動なしということになっても、先々が完全に保証されたわけではありません。教授が代われば、その先はより不透明になります。
(メールの文例)
〇〇大学 〇〇教室
〇〇教授
突然メールをお送りして、大変失礼いたします。〇〇〇〇と申します。
〇〇県で〇〇科医として働いており、専門医資格も取得しました。・・(現状を書きつつ)・・両親が〇〇県におり、いずれはそちらで働くことも考えております。
つきましては、一度ご挨拶をさせていただけたらと存じます。お忙しいところ誠に申し訳ありませんが、お時間をいただけますでしょうか。
※「必ず入局する」というニュアンスにはしないことが、ポイントかと思います。
転職エージェントを通せることも
Uターン転職などで既に自分に技術や資格があり、ある地域で働きたいだけという状況であれば、転職エージェントを通せないか検討することをおすすめします。
・エージェントに登録
・働きたい地域で求人がないか探る
・エージェントを通して、「病院と」交渉する
・希望の病院で働くために入局が必要ならば、入局をする
という流れになります。
エージェントを通すメリットは下記の通りです。
・質問、面接のセッティングなど、事務手続きを代行してもらえる
・雇用条件を候補病院と交渉できる
・「異動なし」など引き出せた条件を、契約書に盛り込んでもらえる
・入局しなくても、希望に沿う病院がみつかるかもしれない
特に「交渉ができる点」と「条件を契約書に明記できる点」は大きく、勤務希望の病院がすでにある場合も、エージェントを通せるとメリットがあります。
エージェント不可である場合も多い
ただし、エージェントを通しての転職ができない病院も多くあります。エージェントを通す場合、病院側がエージェント会社への報酬を支払わなければならないためです。
希望の病院がエージェント不可の場合は、医局と話をする必要があります。
※エージェントが通せるのは、転科を伴わない入局のみです。専門医プログラムの申込みにエージェントは基本的に使えません。
まとめ
途中入局というテーマで解説してきました。
ポイント
- 途中入局には、転科を伴うものと伴わないものがある
- 経験のある中堅以降ならば、丁重に扱われる場合が多い
- 入局の基本は、医局と直接交渉
- 地域の病院で働きたいだけであれば、エージェントを通す選択肢も
医師の働き方は、昔と比べ「医局外」の選択肢が増えてきました。その一方、依然中~大規模病院のポストの多くを医局が保持しているのも事実です。
また医局によっては、昔からの「生え抜きから育てた医師だけを、自由に使う」という方針での体制の維持が難しくなっています。
こういった現状から「医師と医局が話し合いをして、条件が折り合えば…」という途中入局の形が、できはじめたのではないかと感じています。
さて、今回は以上です。
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